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はむらぼ音楽講座 演奏会に行った!

はむらぼの辛口演奏会レビュー・1998年

<東京近郊編>

Last Updated.2000/1/4

(注)曲名等は正式表記しておりませんので、ご了承下さい。

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<はむらぼの辛口演奏会レビュー>

第6回エバーグリーンコンサート

 跡見短大マンドリンクラブのOG・OCが集まってできたEME(エバーグリーン・マンドリン・アンサンブル)ですが、1年半程度のインターバルをおいて、今年は第6回目を数えることになりました。これまでワタクシは指揮者や音楽監督など、企画面にそうとうタッチしていたんですけど、今回は大役を後輩に譲って、なんとベーシストとしてのみ参加(驚)。ワタクシをご存知の方は、ちょっとばかり驚いたかもしれませんね(笑)。

 で、ワタクシ個人としては、練習不足がみごとに出てしまって反省しきりの演奏会だったんですけど、それはそれでおいといて(笑)、いろいろなものの「見方」「感じ方」を考えさせる一日となりました。うーん、言葉がうまくみつからないんですけど、「コップに水が半分しか入っていない」ってみるか、「コップに水が半分も入っている」ってみるかの違いかな。。。笑 見る人や思い入れの違いによって、優劣どちらにでも評価できる演奏会だったと思います。これってアマチュアコンサートならではの、そしてアマチュアだからこそ、まじめに考え出せば答えの出ない難しい問題だと思いますです。

 まず、出演者一同、とっても後味の良い楽しい演奏会でした(大喜)。内情を暴露すると(笑)、直前まで編曲やら何やらでゴタゴタがありまして、スタッフやトップ陣は連日の寝不足で大変でした。なかなか思うようにムードが盛り上がらず、直前合宿では風邪ひき続出、最後までドキドキハラハラの連続だったのですが、これがまた楽しい思い出につながったみたい(笑)。これまで気が付かなかった仲間の以外な一面や土壇場の頑張りなどなど、新しい発見が多かったのも社会人オケとしての醍醐味の一つだったと思います。

 こうした演奏者の気持ちが客席にも伝わるんでしょうね。当日のアンケートを読む限り、とっても暖かいお言葉や励ましのお言葉をたくさんいただきました。そんな暖かい雰囲気いっぱいの演奏会と満足できる反面、メンバーの感じ方と客席の感じ方には微妙なギャップがあったことも事実。。。ここだけの暴露モードで(笑)、ぢつは練習量に「反比例」して評判が良かったんです(爆)。我々として感触の良かった1部のエルガーなどでは、とっても心地よい演奏ができたって自信があったにもかかわらず、お客さんの反応はイマ一つでした。一方、派手派手な2部ラスト@ファリャや、数回の練習で本番を迎えたボロディンなどが人気があったようです。幕間のお楽しみ、奥多摩くわるてっとのミニステージも、みなさん、いつもほんとに楽しみいただいているのに、今回はアンコールを用意していたにも関わらず客席の雰囲気を察して、プログラム上の3曲のみで退散してしまいました。えっ? 演奏がイマイチだったから?(涙) そんなことはなかったと思うんですけどねえ。。。少なくとも演奏の出来は、昨年よりは上だったはずぢゃありませんでした?? (^^;

 コンサート企画についても、メンバー間の信頼感や一体感が一層高まったって好意的に評価もできるし、一方で、いろいろな課題が山積して当初計画していたものの半分も実現できなかったって不本意な部分も多かったです。例えば、今回はさまざまな地域の音楽、民族性を表現しようという目標を持って練習してきたのですが、メンバー全員が少なくともこれだ!って納得できるほど、表現や解釈に差をつけられたわけではなかったかな。事務的な仕事でも、最後の最後でなんとか本番まで間に合って良かったってことが多かったんですけど、もし間に合わなかったらそうとう雰囲気が悪くなってしまったはず。かなりの部分、いろいろな人が「尻拭い」をやる羽目になってしまいました。

 こうして考えてみると、何をもって善し悪しを決めるかってことが、とっても難しいです。音楽団体だからこそ、その価値は演奏そのものにあるって言い切れないところが、こういう社会人団体の良さでもあるし致命的な欠点なのかもしれません。ただ、ワタクシとしては、時間に余裕のない社会人団体、アマチュア団体だからこそ、我々の大半が確信した後味感の良さを信じたいかな。少なくとも、もうすでに次回の企画が始まっていますからね、いろいろな反省を踏まえて新たな課題に向かっていくこととなるでしょう。

 さて、内輪話はこの辺にして。。。当日の演奏面でいくつか。まず、北とぴあのつつじホール(小ホール)ですが、それほど大きくないステージに、30名以上乗りまして、かなり狭い状況で演奏しました。もちろん反響板使ったんで、音が予想以上にダイレクトに客席に届いてしまうんです。なんで、リハの時には盛んに、「フォルテを大きく、ピアノを小さく」という指示が飛びました。小さい音が小さく聞こえないんですよね。そうかと思うとフォルテの迫力が足りない。音量のバランスが難しいホールでした。とくにワタクシはベースを弾いたので、アルコの音とピッツの音の音圧の違いに苦労したかな。それから、久しぶりに「走った」演奏でしたよ(笑)。結果的には、これがいい雰囲気につながったんで、ワタクシは弾きやすかったんですけど、練習時に比べてかなりテンポが早かったかな?(笑) 当日は天気が良かったんで、あまりテンポを早くすることが好ましいわけぢゃないかもしれませんが(晴れの日にはゆっくりめに、雨の日はテンポを少し早めにとるって説、ほんとに正しいのかな?。。。笑)、やっぱり音楽が自然に流れるには、それなりのテンポが必要ということですね。

 ということで、演奏会場にお越しいただいたみなさま、演奏者を代表してお礼申し上げますです。ワタクシ的には、EMEという団体にとって何が「いい演奏」なのか、なかなか答えが見つかりませんが、一人でも多くのお客さんが満足いただけるよう、演奏面、企画面でこれからもいろいろと試行錯誤を続けるんだろうなあ。。。あれ? ほとんどレビューというよりも、一メンバーの愚痴大会になってしまった。(^^;

 

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<はむらぼの辛口演奏会レビュー>

ジョン・ウイリアムズ ギターリサイタル

 これまたマンドリンの演奏会ではないんですけど、久し振りに「プロ」のコンサートに行きましたので、ちょっとばかり辛口デビューを(笑)。まずはお話の大前提として、ワタクシ的に大変お疲れの状態で演奏会に行ったということ、それからすみだトリフォニーの駐車場がとっても気に入らなかった(怒)んで、ジョン・ウイリアムズさんには大変申し訳ないけど、はじめからアゲンストの風邪(変換ミスなんだけど、文字どおり体調もよくなかった)が吹いていましたです(苦笑)。いやいや、時間がなかったのでトリフォニーホールの駐車場に車を置いたんですけど、ホテルも含めて4ヶ所くらいのエリアがあったり、その中で契約者専用エリアがあったり、どこに駐車していいのかさっぱりわからなかったんですよ。案内の人もいなくって、案内表示も、とりふぉにーしろーとのワタクシには瞬間的に理解できないものばかりだった。。。さらに急いでいるところで、エレベータが動いていなかったり、動いているやつはものすごく遅かったり。。。ということで出鼻から思いっきりくじけモードだったんですよ(涙)。

 さて、気を取り直して、ジョンさん、いつものスタイル@CDジャケットと同じ、でさっそうと登場。トリフォニーって何人くらい入るのかな? ステージ上には、両脇3〜4メートルくらいの間隔で小さ目のスピーカーが2台置いてありました。演奏者とほぼ同一か、ちょっとだけスピーカーの方が奥に引っ込んでいたかな? スピーカーはかなり内側を向いていました。で、マイクは2本だったと思うんですけど、1階席後列で聴いている分にはほとんど違和感がなくって、技術の進歩を感じてしまいました(喜)。もっとも、以前ボストンポップスを聴きに行ったときみたいに、生の音って感じよりは、素直な癖のないサウンドでCDを聴いているってな感覚でしたけどね(笑)。

後日、読者の方からこのスピーカーは、演奏者用のモニター(返しスピーカー)なのではとのご指摘を受けました。(99/9/26)

 さて、この日のプログラムは、ワタクシ的にはほとんど知らない曲ばかりでして、あまりちゃんとしたレビューができないんですけど、ヴィバルディとブローウェルが大吉でした。この二つはとっても音が豊かで、文字どおり「音の洪水」を浴びたという感覚に襲われまして、ほんと心地よかったです(大吉)。何が良かったのかな? 一つはテンポがあまり変わらない曲で、音色の変化というよりも音数が多いもの、例えば2声とか3声とかかなりのポリフォニーってことかな? 6弦のバランスがとってもいいんですよね。ですから、音楽が極めてはっきりと聞こえてくる。その意味で、圧倒的な安定した技術を見せつけられましたです。

 で、ここからが問題なんだけど、ものすごく上手くって、それだけでいいやって思ってしまえることも事実だってことを大前提に(笑)、でわそこにどういう音楽があるんだろう?ってふと我にかえってしまったんです。決して機械的な演奏ではなかったし、解釈が変だったとも思えないんですけど、それ以上でもなければそれ以下でもないって演奏だったんです。だから、単にCDを聴いていたって感覚を拭えないんですよね。仕事師として、きっちりと自分の音を出して、はい、さようなら。。。って感覚。決して音楽が内向的であったわけでもないんですけどねえ。。。とくに2部曲では、ワタクシ的にギター音楽の嫌いな面を感じてしまったんです。アルペジオでメロディーを執拗に刻んだり、難しいパッセージをがんばって弾くんだけど、もともとの曲が単調でちっとも面白く聞こえない、などなど(苦笑)。こういうのって、弾いている分には面白いんだけどねえ(笑) もしかして、ギタリストの腕の問題ってよりも、曲の完成度とか音楽性の深さ(こういう表現は誤解を招くかもしれないけど。。。(^^; )に問題があるのかもしれませんね。まずそこにギターありきで、音楽が先にあるわけではないって気がしてしまいました。

 ということで、淡々と時間が流れて、心地よい音楽がそこにあったんですけど、生の演奏会にあるはずのドキドキ感ってのがあまり感じられなかったという一日でした(小吉)。あ、でもね、一応フォローしとくと(笑)、今のお話は正規プログラム終了までのもの。アンコールを3曲ほどだったかな? あっちこっちの新進気鋭作曲家の作品を取り上げてましたけど、これはとっても面白かった。一仕事終えて、肩の荷がやっとおりて初めてリラックスできたって想いが伝わってきたんですよ(笑)。聴衆とステージがはじめて一体化して、本来の音楽そのものを感じて、「音楽」を楽しんだ、そんなうれしい瞬間でした。

 

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<はむらぼの辛口演奏会レビュー>

都民交響楽団第86回定期演奏会

 マンドリンの演奏会ではないんですけど、久しぶりにワタクシがエキストラとして参加した演奏会ということでご容赦を(笑)。都民響は、今年で創立50周年にもなる東京都の顔として活躍されているアマチュアオーケストラです。ところが、財政難の折り、来年からは都からの予算がゼロになってしまうとのこと。もしかして今年で最後の演奏会になるかもなんて説もチラホラするんですけど、なんとか良い状態で活動を続けられるといいですね。

 さて、この日のプログラムは、ALLレスピーギで、出だしは弦楽アンサンブルの小品集。そして「ローマ三部作」というオーケストラの魅力盛りだくさんの意欲的なものでした。とくに「ローマ三部作」は、オーケストラの実力がそのまま出てしまう曲なので、半年以上も前から毎週のように練習していたようです。当日の演奏は、リハーサルより1.5倍くらいの音量で(笑)、みなさんとっても気持ち良く演奏できたみたい(大喜)。大きな事故もなく、メンバーのみなさんの満足そうな顔が印象的でした。

 ま、曲自体、あまり解釈の余地がなく(ほんとは、そう言い切ることもできないんだけど。。。笑)、一人一人がちゃんと責任を果たして、バランスをまとめられれば素晴らしい演奏になるんで、ここではワタクシの専門分野であるマンドリンオーケストラと通常のオーケストラとのカルチャーの違いについて、気が付いたことを徒然に。。。数回の練習を通じて一番強く感じたのが、まさにオーケストラの方が分業体制による共同作業という印象でした。つまり、オーケストラの方がいろいろな楽器があって演奏技術や楽器の特性がまったく違う分、あるパートは別のパートに対してほとんど関心を持たないってことかな?(苦笑) ちょっと言い過ぎの分があるんで、あくまでも誇張した表現ということでご容赦願いたいんですけど(笑)、ほんとに一人一人がオーケストラを作り上げて一つの曲に仕上げるという印象を強く持ちました。リハーサルや楽屋では、各パートごとにものすごく分業体制がしかれていて、自分たちの仕事をまっとうするって気持ちがものすごく伝わるんですよね。ああ、オーケストラ曲って文字どおり多くの人達が一つずつ音を積み上げていってできているんだなあ、とあらためて感じましたです。

 そんなことなんで、他のパートに対しては相互不可侵条約が結ばれているようで(笑)、ものすごくパートが独立心旺盛のような気がしました(笑)。いってみれば、会社組織を見ているみたい(苦笑)。それぞれのセクションがちゃんと機能すれば、それで会社の業績は万万歳って感じかな? だから他のパートが何をどう弾いているのかには、基本的に口出しをしない。。。でもね、無言の絶対的な信頼感があるって感じではなくって、そうするのが当たり前、失敗したらその部署の責任でしょって印象を受けたんですよ(笑)。マンドリンオケって、どちらかというと連帯責任みたいな感があって、隣りのセクションの出来不出来がすぐに伝播してしまう。オーケストラが近くって、音がすぐ隣りから出てくるってことも理由なんでしょうね。その意味で、マンドリンオケの方が、みんなで一体になって音楽を作るって部分が多いような気がしました。

 それと、都民響というアマチュアオーケストラだからこそなのかもしれませんが、とくに木管や金管楽器に多いのですけど、楽器自慢が多い(爆)。控え室では、トラも多いから余計にそうなのでしょうけど、楽器に対してものすごく関心があるみたい。みんなで楽器自慢をしているんですよ。どこどこのマウスピースはどうだとか、どこどこのオケの誰々が何を使っているだとか、とっても専門的(笑)。こっそり聴いていて、一人でクスクスしていました(笑)。それと、この話につながってくるのだけれども、各セクションのメンバー構成が比較的年配者から若者まで幅が広くって、年長者が若者にいろいろと演奏上のアドバイスを一生懸命しているってこと。これはとっても新鮮で、羨ましくもありました。マンドリンオケって、どうしてもメンバー構成が狭いレンジに収まっていて、あまり上下で演奏技術を教えあったりしないんですよ、ワタクシが知っている限りでは。。。もちろんね、マンドラパートやマンドロンチェロ、とくにローネなんてのは、楽器のうんちくにうるさかったり(笑)、トレモロや指使い、弦やピックの削りかたなどなど、いろいろと自慢し合ったり自説をこんこんと話すシーンが多いですよね(笑)。でもね、オケの方が、それ以上に輪をかけているんですよ。オケの楽器の方が高額な分、当然なのかな? それに、演奏技術面でいうと、ブルックナーの何番の何楽章のどこどこなんて、みんながよくわかる共通部分が多いからかしら? マンドリン関係者では、例えば「メリアの平原にて」の冒頭の音をどう弾くとか、「海の組曲」の3楽章をトレモロにするか単打にするかって議論は、そりゃなくはないけど(笑)、指揮者次第って説が多くって演奏者自身が試行錯誤を繰り返したり、演奏者間で情報交換をするってことが、それほど多くないと思うんですよ。逆にいうと、それだけオケの方が、ベルリンフィルやらウィーンフィルの演奏といった、いわば究極のお手本みたいなものがあるからかな? これはCDやコンサートなんかの情報量の差なんでしょうね。。。

 自分の中では、こうしたオケとマンドリンオケとの違いを十分わかっていたつもりなんですけど、今回の経験で改めて強く感じたというお話でした。あとはね、個人的な話で恐縮ですけど、今回はトランペットとホルンの間、山台3段目という、「高い」ところでの演奏だったんです。普段は指揮者の隣りで客席に一番近いところで弾いているんで、かえって緊張はしないんですけど、山台&出番少ないってことで、いつになくとっても緊張しました(苦笑)。それに、カーテンコールの時には、一番最初に立たせていただいて、ちょっと恐縮モード。自分のペースで演奏会や実際の演奏、あるいはリハーサルなどが進まないってのは、なんだかこそばゆい感じ。久しぶりにいつもとは違う立場で演奏会に参加することができたことは、これはこれでとってもいい経験でした(喜)。

 最後に、せっかくですから少しだけ「祭り」の中のマンドリン演奏についてコメントしておきましょう。3楽章でホルンソロのあとに、完全にソロ演奏として出てくるフレーズですけど、通常のオケの楽器とは異なる、マンドリンの音色の特殊性をデフォルメするために、今回はできるだけ1ポジションで弾いてみました。それも幾分、スルポン気味で。ワタクシ、落合のS3という楽器を使っているんですけど、イメージとしてはカラーチュエとかビナッチェみたいなカラッとした音を目指してみました。あまり上手いトレモロではなく、少し不器用な方がいいかなって感じ(笑)。スラーも、譜面通りに長くとるのではなく、もう少し大衆的に(笑)、少し短めにとってみました。だから、いつものメトやクリマンなどで弾くのとは、ずいぶんと違うフレージングやトレモロかな? オケの中ではどうしても音量的に負けてしまったり、小さな表現では埋もれてしまうって懸念があったからなんですけど、さてさて、みなさんにはどう聞えたでしょうか? ということで、ワタクシ的にはとっても楽しくて、久しぶりに刺激のあった演奏会だったんですけど、あれ? 全然辛口レビューぢゃないですねえ。。。ま、いっか?(笑)

 

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<はむらぼの辛口演奏会レビュー>

メトロポリタン・マンドリン・オーケストラ第9回定期演奏会

 結論からいうと、演奏者は、指揮者の小出先生も含めて、かなり満足できた演奏会になりました(大喜)。充実感があったというのかな? これは練習のプロセスがそうだったし、当日の演奏もそこそこのレベルに達していたという意味での満足感だと思います。事実、どうしようもないような事故はなかったしね(笑)。ということで終演後、ホワイエで行われた打ち上げでのメンバーの嬉しそうな顔が印象的でした。

 で、ワタクシにとっては、ぢつはこれがちょっとムムムなんですけど(苦笑)。。。個人的には、1曲目のベルクを大失敗してしまって、練習では一度もミスらなかなったようなところを失敗したのがなんとも心残り。プログラムの中で一番好きな曲だったので、それだけに動揺を隠せないです。っていっても、それほどミスは目立たなかったと思いますけど。。。(^^; 2部は挽回して、とっても素直にリラックスして、いい感じで演奏できたかな?

 ムムムといったのは、今回の演奏会が、どこまでお客さんに伝わったか? ということなんです。演奏者としては、近年では珍しいほど大変満足いく演奏会だったと自賛できるんですけど、それがほんとにお客さんに伝わったのかどうかという点で、ちょっとばかり心配(涙)。確かに練習でできたレベルの8〜9割くらいは、本番で力を出せたと思うんですけど、それはあくまでも我々の練習レベルが基準。お客さんが要求するレベルってのに、どこまで達していたかは難しい判断なんですよね。もちろんお客さんは人それぞれでしょうから、例えば音のきれいさを求める人、音楽的な解釈を求める人、演奏者の気持ちが伝わることが大事と考える人、などなどそりゃ千差万別。その中で、我々演奏者が少しでもお客さんのニーズを汲み取って、顧客志向を打ち出していたかというと、うーん、ちょっと自信なさげ(苦笑)。

 とくに音楽的な解釈などを考えると、2部のフランス音楽については、あまり自信がないんですよね。もっとも我々の理想が、例えばデュトワ&モントリオール響とか、クリュイタンス&パリ管なんかの世界一流と比較しているからなんだけど(笑)、フランス音楽がもつ「粋」とか「エスプリ」をどこまでだせたのかな? 練習でもなかなか「フランス」を感じられなくって苦労したんだけど、それでもごく瞬間的に(苦笑)ものすごくいい感じが出せたことがあったんです。だからこそ、本番でどの程度伝わったかが問題。メトって団体は、単に集まって楽器を弾くことだけが目的ではないんで、ある意味では結果を出すことが大事なんです。本番までの過程が大事という、プロセス重視のコンセプトを否定するつもりは毛頭ないですが、メトとしては結果も重要なのです。そこが今一つ自信がないという点では、みなさんの厳しい評価をたくさん聞きたいかな?(恐)。

 で、どうしてそこまで不安が残ってしまうのかってことをいっしょけんめ、考えたんですけど、きっとこういうことなのかな? ちょっとキザな言い方で恐縮ですけど、メンバー全般的に「愛」が足りなかったんぢゃないかって説。フランス音楽を一括りにすることは必ずしも本意ではないんですけど、それでもラヴェルとかドビュッシーの音楽って、演奏者にものすごい「愛」を求めるものだと思うんです。それも「人」とか「神」に対するものではなくて、「音楽」そのものに対する「愛」。音楽に対する限りない「愛おしさ」が、きっと演奏の善し悪しを決めるんぢゃないかなあ。もちろん、メンバーみんなが演奏そのものに四苦八苦する中(苦笑)、少しずつ曲を好きになってくれて、演奏そのものを楽しんだんですけど、それはまだすべてを超えるほどの「愛おしさ」までには達していなかったかな? もしかしたら、単に余裕のある演奏ができたか否かってことなのかもしれないけど(笑)、マンドリン音楽に対する「思い入れ」とはちょっと違う「愛」について、考えさせられた演奏会でした。

 ま、そんなこんなで、満足半分、よくわからない半分ってな複雑な心境なんですけど(苦笑)、1部ラスの「眠るヴェニス」は比較的いい感じで演奏ができたと思います。トレモロと単打が同時並立的に進行するってコンセプトの曲なんですけど、初めて聴く人にはずいぶんと抵抗のある音楽だったかもしれませんね。それでも、直前に作曲者の近藤先生ご本人から指導を受けまして、これが演奏にはずいぶんとプラスに働きました(大吉)。これからは、難しい音楽を「理解して弾く」だけでなく、「理解してもらえるように弾く」ってことが課題になったかな。(^^;

 

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<はむらぼの辛口演奏会レビュー>

第71回青少年音楽祭

 いやあ、さすがに疲れました(笑)。マンドリン部門で組曲1曲、合唱でミサ曲、オケでローマ三部作。一般のお客さんは、3部門のすべてを聴くって人はぢつは少ないのかな? 関係者のみなさん、いろいろ大きな曲をやりたいのはわかるけど、演奏会はせいぜい2時間に押さえてね(苦笑)。

 さて、昨年は、マンドリンの特殊性を感じた演奏会だったんですけど、今年はマンドリン部門の良さが光った演奏会でした。これはいくつか理由があると思うんですけど、ひとつはマンドリン部門の指揮者中村ユリさんが、すばらしい解釈をしたこと。もひとつは、マンドリン編曲の問題。そしてマンドリン部門が比較的オトナシイ演奏だったのに対してオケ部門の若さゆえの。。。。ということかな(笑)。

 まずマンドリン部門からいきましょうか。昨年とまったく同じ場所に座ったんですけど、今年もマンドリンの音色が印象的でした。これはね、上手い人を上手に配置した席順の妙というか(苦笑)、それとも技術的に抜きんでた奏者が多くなかったのか(笑)。。。ということで、音が前からも後ろからもきれいに聞こえたんです。ホールの前の方で聴いた人とは印象が違うと思うんですけど、2階席で残響を楽しみながら聴く分には、ああいうサウンドが大吉。久しぶりに大合奏の良さを満喫しました。対照的に、マンドラやローネなどの中低音系の音色がちょっと薄かったかな。よく響いているとは思うんですけど、説得力がないんですよね。圧倒的な迫力を感じたい部分で、あまり感じられなかった。昨年もまったく同じことを書いているんで、もしかしたら聴く席の問題なのかもしれませんね。でも、昨年と違ってベースパートは良く音が通っていたし、オケ部門の中低音もそれほど聞こえなかったわけぢゃないんで、決して音がならない場所ぢゃないと思うんですけど。。。

 で、演奏ですけど、ワタクシ、ボッタキアリが一番印象的でした。マンドリン合奏っていいなあって思えるサウンド。大編成でのボッタキアリサウンドを満喫しました。中村さんの指揮も、丁寧な個所をちゃんと丁寧にするという極めてオーソドックスな解釈で好感が持てました。そうそう、カルティーノが2本入っていたのかな? 瞬間的には効果的なんですけど、やっぱりすぐにかき消されてしまいますね(苦笑)。弾くのも編曲するのも難しい楽器だと思いました。その他の2曲は、あまりワタクシ得意な曲ではないんで、コメントも難しいんですけど(苦笑)、どうしても作品がもつ本質的なものと、JMJという編成とのギャップを感じてしまいます。グリーグは、もともとは「25のノルウェーの民謡と踊り」ってピアノ曲を改編したもの。作曲者自身が原曲を作曲してから25年後ぐらいにオーケストレーションしているんですけど、この手の拡大版ってあまり好きになれないんですよ。バルトークとかでも多いでしょ? ラヴェルはオーケストレーションに成功しているけど。。。で、そういう先入観があるからか、どうしてもマンドリンオケでもちょっと大きすぎるなあって印象がぬぐえなかったです。80人もの大勢で、演奏ルールを決めて弾くような曲ぢゃないなあって思ってしまうんです。部分部分では、このくらいの編成がいいって思うときも、あることはあるんですけどねえ。。。そうそう、アルト2本のソロかな? あまり音色が変わらない印象だったのはどうしてかな? ホールが大きすぎるのかもしれませんね。そうだ、前の二人がそろって楽器を換えるのは、あまりいい感じではなかったなあ(苦笑)。正面の二人が揃ってお辞儀するのが、気になってしまいました。

 マスネですが、これはフル管編成でしたが、それほど違和感がなくオーソドックスな音使いでしたね。個人的には、マンドラのパートソロのような部分にクラリネットを重ねるのは好きではないんですけど(KMCの服部先生をはじめとして大抵の人がこの手法を使いますよね。。。苦笑)、全体的にはマスネをやると決めた時点でああいう感じになるんでしょうね。違和感がないという意味ではいい編曲だったし、それに応えた演奏だったんぢゃないでしょうか。マスネの雰囲気を決して壊すわけではなく、有名な曲をきれいに纏め上げましたねって印象です(喜)。で、問題はこの譜面でオリジナルメンバーが面白いのかなって思ってしまうことなんです。ギターパートなどは一番ギャップがあると思うんだけど、ほとんど音を掻き消されてしまいますよね。マンドリン系も、場面場面の情景描写の違いを、木管楽器やホルンなどにみんな取られてしまうってとこでしょうか。おそらく技術的には適度に難しい個所があって、それなりに練習して弾けるようになって本番ってとこなんでしょうけど、ワタクシみたいに極めて偏ってしまうと(苦笑)、微妙な音色の変化とか、ニュアンスの違いを自分自身で表現することに面白味を見出してしまうんですよね。なんで、この手の演奏では、弾いていてつまらないんぢゃないかなって思ってしまうんです。ギターなんかも、もう少し別の考え方で位置づけてあげれば、もっと効果的なサウンド作りがあるんぢゃないかなってとこで。。。(もっともそのためには、「絵のような風景」って選曲自体を考え直さなきゃいけないでしょうけど。。。) 

 ま、いろいろと注文は多いんですけど、それなりにいい演奏だったんぢゃないでしょうか(喜)。3曲とも緊張感とか厳粛な精神性を求める曲ではないんで、そういう意味では曲の本質と演奏者のやりたい音楽や技術レベルとがマッチしてたのかもしれませんね。演奏会を成功させるためには、このマッチングというのがとても大事なことだと思いました。で、これがあまり上手く行かなかったのが合唱部門とオーケストラ部門なんです。合唱部門そのものは、それほどでもないかもしれませんが、うーん、やっぱりプーランクの音楽とはちょっと違う音を出していたんぢゃないかなあ。合唱の各パートはよく練習されていて、きれいなサウンドだったんですけど、ソプラノ、アルトなどとアンサンブルになればなるほど、透明感が消えてしまって、バランスの悪さが気になってしまいました。それに、プーランクの独特の世界をどこまで表現できたかっていうとね、うーん、ワタクシ好きな曲なだけにまだまだって感じがしてしまいました。終曲の静かなところなんかはいいんですけど、やっぱりプーランクはフォルテの音を重くなく軽くなく、精神性を求めずさりとてなくならず、ある瞬間はとてもエスプリを利かせて。。。って、繊細さと大胆さが必要だと思うんです。

 ローマ三部作もそうでしたね。若さゆえに、盛り上がるところで、早く盛り上がりすぎてしまうんです。円光寺さんの指揮もそれに輪をかけてしまうんで(苦笑)、音楽のピークがあやふやになってしまうんですよ。とくに有名な曲だし、管楽器の音のひっくり返りとか、リズムの甘さなんかが一発でばれてしまう曲。ぢつは、あまり素人オケが手を出しちゃいけない曲(お客さんに聴かせるという意味でね。。。)なんぢゃないかと思ってしまいました。これが大学の定期とかだったら拍手喝采でいいと思うんですよ(笑)。でもJMJって各大学のメンバーや若いOBメンバーが、自分達の技術レベルをより極めるために、高い目標にチャレンジして、チャレンジだけでなく十分な結果を出すってとこに、この音楽祭の役割があるんだと思ってたんですけど、規模が大きすぎて出来なかった曲をこの機会にやってしまえ! 今日はお祭りだ! ってことでいいのかなあって感想を持ちました。ワタクシの考え方とか音楽祭に対する思い入れが、古すぎるのかな?(笑) チェリのシェヘラザード@リムスキー・コルサコフとか、展覧会の絵@ラヴェル編なんかを聴いてしまって、それがワタクシのデフォルトになってしまったから、こういう感想を持ってしまうのかもしれませんね(苦笑)。もしかしたら、音楽は勢いだ!って言い切っていい曲なのかもしれないですけど、やっぱりも少し丁寧な音作りをして欲しかったなあ。

 ということで、体力的に疲れてしまったんですけど(苦笑)、演奏会としてはお客さんも十分たくさん入っていたし、拍手も暖かくそこそこステージと客席とが一体感ある演奏会だったんで、これでよしとしなければいけないんでしょうね。どうも最近、レビューまでボヤキの多い三十路オヤジモードになりつつあるなあ(涙)。

 

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<はむらぼの辛口演奏会レビュー>

慶応義塾マンドリンクラブ第160回定期演奏会

 さてさて、慶応の定演は、ぢつは卒業以来8年ぶりかな(笑)。正直、まったくの第三者的な立場で演奏会に参加することとなりました。で、この日はリハーサルから見せて頂きまして、いろいろと観察させてもらいましたよ(笑)。

 で、リハのことはおいおい、ここでは本番の印象から書きましょうか。メンバーの皆さんの責任ではないかもしれないんですけど、ぢつは、あまりマンドリンの演奏会を聴いたって感じがしなかったんですよ。これはワタクシが「カルメン」の編曲を手がけたことが最大の理由なんでしょうけど(後述)、うーん、あまりいい意味ではないかもしれないです。

 その「カルメン」から話しましょうか。今回は、意識的にマンドリンという音作りというよりも、あくまでも音楽のもつ魅力を最大限マンドリンで表現しようって編曲にしたんです。で、これがワタクシ的には大変満足いく内容でして、自分にとっては狙い通りの音になったことがとってもうれしかったんです(喜)。よく言われるように、マンドリンと木管楽器、あるいは金管楽器、打楽器との相性の悪さに細心の注意を払いまして、また技術的に不足する分をいろいろな工夫で補うという編曲をしたつもりだったんですけど、自分でいうのもなんですけど(笑)、これが大変効果をあげていた思います。でね、ワタクシにとっては極めて自然な響きで、違和感の少ない演奏をしていただいて大満足だったんですけど(もちろん演奏上のミスや解釈の違いなどはありましたけどね。。。笑)、はて、これはマンドリン音楽といえるのだろうか? って覚めた目になってしまったんですよ。ワタクシ的にはいい仕事が出来たと喜んだんですけど、メンバーのみなさんやマンドリンを聴きにきた一般のお客さんが、どこまで満足していただけたのだろうかって疑問です。

 で、いい音楽を演奏すれば、それがたとえマンドリンであろうと、管楽器であろうといいぢゃないかって考え方もあると思うんですけど、その観点からすると、KMCの皆さんの演奏には、ちょっとばかり「色」が足りなかったんですな。技術的なことではなくて、やはり意識、気持ちの問題です。ワタクシ以前から、演奏には演奏者の気持ちや考え方がすべて出てしまって、お客さんに全部ばれてしまうって説を唱えているんですけど(笑)、この点で果たして「生きた音楽」を作っていたかなって反省です。偏見かもしれないけど、どうしても教科書的な、答案用紙に答えを書いて合格点の80点をとってるような演奏に聴こえてしまったんですよ。会場のお客さんに、どこまで感動を与えたかってことを考えると、ワタクシ淡々とスコアの音符が過ぎていったような印象しか残らなかったんです。ホールが広かったんで、客席とステージ間に一体感が生まれにくいって説もありますけど、やっぱり曲が曲なだけにもっとドロドロとした感情のもつれなり、言うに言われぬ思い、カルメンの挑発的な情熱があってもいいだろうって思ってしまうんですね。音楽に何を求めるかってことで、聴く人、一人一人違う印象をもつとは思うんですけど、ワタクシとしてはあまりに淡々と時間が過ぎてしまったってところです。そして、自分が手がけてきた理想の音や音楽が、ほんとにそれで良かったのだろうかって疑問が生まれてしまったんですね。

 で、これは編曲という問題もあるんですけど、責任転嫁するとすれば(笑)、プログラム・選曲という問題にも行き着くのかもしれません。その意味で、1部から2部までほとんど歌劇からの曲で、同じような音楽が並んでいるってことも一つの理由かもしれませんね。ということで、大きな問題提起として、マンドリン音楽の魅力とか、自分達がやりたい音楽、あるいは演奏って何なんだろうってことを真剣に考えて欲しいなあ。そしてそれを実現できるための工夫なり努力なりをして欲しいと思いました。

 辛口はこの辺までで(笑)、その他のお話。なかのゼロの大ホールってのは、もう何度も行っているホールだったんですけど、マンドリン演奏会は始めてでした。で、広いステージ、広い客席ってことで、マンドリンの細い音色が通るか心配だったんですけど、予想以上によく音が鳴るホールでした(大喜)。で、ものすごく残響が長いホールなんで、それで演奏者はずいぶん助けられたかな(笑)。お客さんが少なかったから余計にそう感じるのかもしれませんが、音響的には2階席が圧倒的に音が良いと思いました。1階席は、屋根のある部分とない部分でずいぶん音響が違うみたいです。

 最後にノスタルジックモードで。KMCの育ての親である服部先生のいない定期演奏会を、初めてまともに聴いたんですけど、アンコールのいつもの演出はどんなものでしょう? 伝統にとらわれることなく、もう一度原点に返って企画を考え直してみてはどうでしょうねえ。どうしても服部先生のカリスマ性や華ってものを思い出してしまって、それと比較してしまうとあまりに無難にこなしているって印象しか残らないんですよ。クラッカーを鳴らしたい気持ちはわかるけど、本当にそれが効果をあげているかとか、演奏者の気持ちが客席に伝わっているか、嫌味になっていないかってことを反省して欲しいなあ。その結果、昔と同じならばそれでいいんですけど、今までの習慣に何の疑問を挟まずに、何も考えずにそのまま受け入れてしまっていません?

 追伸。告白を2つほど(笑)。カルメンでは、オーボエの人に「乾いた音で吹いてくれ」ってものすごい無理な注文をしてしまったんですけど、見事に演奏していただけました(大喜)。メンバーのみなさん、ワタクシが大変感謝し、感動したってことをお伝えいただけませんか? それとも一つ。お昼時、楽屋でお弁当がたくさん余っていたんで、許可なく失敬してしまいました(笑)。編曲料として頂きましたんで、あしからず(笑)。

 

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<はむらぼの辛口演奏会レビュー>

オルフェウス・マンドリン・アンサンブル第7回定期演奏会

 昨年に引き続き、今年もオルフェの演奏会に行ってきました。ホールも昨年と同じ、かつしかシンフォニーヒルズのアイリスホールです。メンバーが若干変わったということもあったのでしょうか、ずいぶん音が変わったなあってのが第一印象(笑)。良かった点もあったし、ムムムな点もありましたんで、うーん、昨年比、どうでしょ?(笑) 全般的には、今回の方がいろいろと楽しい発見があったかな?

 さて、今回はオールオリジナルという極めて明快な主張を持ったプログラムで、大変好感を持てました。冒頭には、昨年末に亡くなられたメンバーを追悼して、藤掛氏の「エンジェルコーラス」が演奏されましたね。実際にこういう場面に出くわしたのは、始めてだったので、ちょっとびっくりしました。1部はチェルライプログラム。若干、アンサンブルの乱れがあったのでしょうか、昨年のような音色が一つにまとまるという雰囲気が味わえなかったのが残念。「序曲」については、かなり重い演奏でワタクシ的にはムムムな演奏。ホ短調で書かれた曲ですが、当方、基本的に根アカな曲ぢゃないかって思ってたんですよ。マイナーで書かれた第1主題は、ほんとは明るい第2主題のためにあるんぢゃないかなってずっと思ってました。そういう意味で、これは解釈の違いですな。もっとも、当方もスコアみて研究したわけぢゃないんで、単なるワタクシの勘違いだけかもしれません(^^;

 「黄昏語る時」は、かなり早目のテンポ設定で、これはこれで好感を持てましたよ(喜)。欲をいえば、以前、別の編曲バージョンで演奏したことがあって、その演奏がとっても音の強弱をつけたメリハリのあるものだったんで、場面転換とか雰囲気を変えるってことでは、もうひと頑張り欲しかったかな。「シエナ組曲」では、「横の旋律」ってことを感じましたです。昨年のようなもっと粘っこい音がでても良かったかな。3楽章とかは、結構良い感じで好きでしたよ。

 後半はマネンテプログラムですが、この日の演奏では「マンドリン芸術」が一番好きな演奏でした。チェルライとマネンテって同じイタリアの人なんですよね。でも、なんだか全然性格が違うんで、ワタクシ的にはマネンテの方が好き。オーケストレーションがあまり上手くないはずなのに、なんだかマンドリンの音色にあったフレーズを書くと思いません、マネンテって?(笑) チェルライって良い曲書いているんだけど、上手く弾くには結構苦労するってパターンとか。で、「マン芸(笑)」ですが、しんどーさん@指揮者の解釈では、1楽章の冒頭4つ目の和音を、ほんのわずかにテヌートかけて余韻を楽しんでいるのが大吉(喜)。下手すると「ペッ・ペッ・ペッ・ベチャ!」って演奏になりがりぢゃないですか(笑)。ここの部分を聴けただけでも、なんだかとっても幸せな気分になりましたねえ。ホールとの相性も良かったと思います。問題はきっと「3楽章」(笑)。いろいろ意見の分かれる解釈ですよね。当方、理解はできましたけど、あのテンポ設定だったらば、もう少し音が軽くないと、聴いている方が疲れてしまいそう、って思いました。同じパワーで押し切ってしまうと、どうしてもベッタリって演奏になってしまいません?

 「華燭」は、鳴り物が多くて、とっても華やかな演奏(喜)。もっともこの曲、ワタクシあまり好きぢゃないんで(苦笑)、うーん、どうでしょ? とくに嫌な点はなかったと思いますけど...あ、そうだ、ささ氏のシンバル、いい音してましたねえ(大吉)ってこんな感想ぢゃだめですか?(笑)

 親しい友人がたくさん参加した演奏会なんで、長くなってしまいますが、気がついた点をもう二つだけ。フレーズ最後の音の処理ってことが一つめです。チェルライでは、オルガンが入ったんですけど、このオルガンとマンドリンのトレモロってものすごく合わせづらい組み合わせだと思います。ささ氏@オルガニスト!が短めに音を切っているんですけど、どうしても弦がきれいにそろっていないと、この差が目立ってしまうんですよね。やはりこの点では、チェリビダッケの演奏をみんなで良く聞いて(笑)、音の処理を勉強すべきだと思いました。

 も一つ、舞台演出ということ。入退場から、メンバーの姿勢、曲間の調弦、客席照明のタイミングまで、舞台演出、パフォーマンスという点でいろいろと気になることがありました。この辺は一人舞台演出家って担当を決めて総合プロデュースした方が、きっと好印象を与えられるんでしょうね。あまりマンドリン業界でこういう演出に気を配る団体って少ないんですけど、やっぱり曲間、とくに楽章間の調弦は、見苦しいものだと思います。同じ調整をするにしても、いかに目立たずにやるかってことをすべてのメンバーが心がけるべきですよね。それから入退場や照明のタイミング。いつだったか、演奏会の全プログラムが終了して、最後のカーテンコールを終えたらば、メンバー全員が客席に向かって一礼して、そのまま着席せずに三々五々解散って演奏会を見ました。これはこれで大変好感をもてまして、後味がとっても良かったです。よく、コンマス一人だけ先に退場して、後のメンバーが「どうする、どうする?」って顔を見合わせながらしばらくしてバラバラと立ち上がるってパターンがありますよね(笑)。大半がこれだと思うんですけど(笑)、決してほめられた習慣だとは思いませんよ(苦笑)。この辺は、みんなでいろいろな演奏会のビデオをみて、研究してみてはいかがでしょうか。

 最後に総括。しんどーさん@指揮者の満足そうな笑顔が印象に残った、楽しい演奏会でしたね。いろいろと課題はあるでしょうし、昨年も書きましたが、団体を維持していくことそれ自体がとっても難しいことだと思います。同じアマチュア演奏家として、いつまでもオルフェという団体を大事に、みなさんの個性を発揮していって欲しいと思いましたです。かとー君@責任者、お疲れ様でした(喜)。

 

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<はむらぼの辛口演奏会レビュー>

クリスタル・マンドリン・アンサンブル第14回定期演奏会

 当方も参加したこの演奏会、記憶もまだ生々しい当日のレビューアップです(笑)。まだ会場にお越しいただいたみなさんのご感想を聞いていないんで、あくまでも当方の独断と偏見モードということでご容赦を。

 まずは、クリマン始まって以来の450名という観客動員が今回の演奏会のもっとも大きな特徴であり、また大成功であった主因だと思います。天気が良かったことに加えて、青山さんや中央大学の学生メンバーなどが頑張ってチケットを捌いてくれたのが良かったのでしょうか? また、このはむらぼ企画HPをご覧いただいたみなさんにもお越しいただきまして(大感謝)、昨年までの7割程度、300〜350名前後から、一気にほぼ満席状態になりました(大喜)。メンバー一同、大変気を良くして、ちょっと緊張しましたけど、心地よい緊張感となりました。

 こうして演奏会としては、大成功でしたが(大喜)、中身の演奏面でも練習対比という観点では(笑)、そこそこのレベルに達したと思います。クリマンはオケの力が強く、普段の練習と本番とでずいぶん演奏が変わってしまうんですけど(笑)、今回の演奏会では全体的にみれば練習時よりもいい演奏ができたと思います。大きな事故もなく、それぞれ力を十分出しきったのではないかな。打ち上げの席上でも、みんな満足感ある笑顔で、大変楽しい飲み会になりました。普段ですと、あの曲のあそこがどうだったとか、どこどこで失敗したといっては、それを肴にずいぶん飲まされるんですけどね(笑)。

 ただ、あくまでも辛口批評(自己批判ですな..苦笑)するとすれば、次の2つの点で課題が残りました。まずは、音色という問題です。クリマンは、打楽器や管楽器などを使わずに、アンサンブル面をアピールしていくオケなんですけど、オリジナル曲はまだしも、ビゼーのように有名なオケ曲をやる場合には、どうしても音色をいろいろと変えて色彩感を出す必要があります。これがまだまだ不十分だったかな。どうしても音色が単調になってしまったり、fとpの差があいまいであったり、説得力に欠けるきらいがありました。ビゼーのように組曲ものをやる場合はなおさらですよね。リハのときにもずいぶんこの点を指摘したんですけど、やはり一朝一夕にはできるものではないでしょう。普段の練習では、いかに音をさらって弾けるようにするかってことばかりに関心が集まってしまうんですけど、こういう音楽を作る、音色を作り込むってことにもより多くの時間を割かなければいけないのでしょう。そのためには、とーぜん、メンバー一人一人が十分に弾けている状態で練習にのぞまなきゃいけませんね(あたりまえのことですが...苦笑)。

 もう一つは、どれだけ感動を生み出したかという点です。練習不足を勢いで乗り切って、事故のない演奏だった...ってことだけでも、それなりに満足してしまうんですけど(苦笑)、メンバー一人一人がどこまで自分自身の中で心底感動して、その感動がどこまでお客さんに伝わったのか、という点に注意すべきでしょう。失敗のない上手な演奏をするということと、気持ちが伝わる演奏というのは、似ているようで微妙に違うことだと思います。伝えたい気持ちが何であるか、という根本的な問題提起も含めて、やはり今一度じっくり考える必要があるでしょう。

 個々の曲については、また機会がありましたらこのコーナーで取り上げますが、舞台裏の内緒話を少しだけ(笑)。今回は、某コンマスA山氏が、普段以上に緊張しまくってました(^^; 一番の難関が、アルルの「メヌエット」(苦笑)。1部では、吟遊詩人の最後でE線を切ってしまって、2部のソロを前に「やばい、やばい」ってそりゃもうそわそわしてましたです(笑)。2部のソロが無事終わっても(楽屋のモニタ−で調弦しながら聴いてたんですけど、すばらしい出来だったと思います)、「アルルの女のソロは、やっぱりみんなで弾こうよ」って泣きがはいるし(^^; ピックを一生懸命磨いては、「トレモロが上手くできない」とか、「5分で汗がびっしょりになって、ピックがすべる」とか、「音の聞え方がいつもと違って、一人で寂しい」とか、ずいぶんと駄々をこねていました(笑)。ま、予想された展開でしたんで、お気楽なワタクシ達は笑いながら相手にしなかったんですけど、A山さん、ほんとお疲れ様でしたね(喜)。

 そうそう、それから当方、今回全部で11本くらいのマンドリンの調弦を引き受けたんですけど、楽器のランクでやっぱりずいぶん音が違うということを実感しました。クリマンは落合というメーカーの楽器がメインなんですけど、標準的なS3というランクと、より高価なS5では、やはりずいぶんと音色に差がありました。音のつやとか張りが全然違うんですよね。当方S3を使っているんですけど、やはりそろそろいい楽器が欲しい欲しい小僧(笑)。それにしても、11本の調弦を全部一人でやると、左手の親指が完全に感覚がなくなっていくぞ。ペグ(糸巻き)がとっても硬い楽器があるんですよ。ものすごい力でまわさなきゃいけないんで、ほんと大変でした。

 

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<はむらぼの辛口演奏会レビュー>

跡見短大MC第37回定期発表会

 なんとも感慨深い演奏会でした(涙)。メンバー減少で40年弱も続いているクラブの存続が問われたこの2年間。学生時代にコーチとして指導に行っていた当方ももちろんのこと、多くのOG達がなんとか時間を見つけては、それは血のにじむような努力で(本当)、かわいい後輩達の面倒をみてきたのでした。その2年生が巣立つ最後の発表会です。もうそれだけでウルウルモード突入というところでしょうか(笑)。ということで、昨年に引き続き、今年もまた辛口レビューにはなりませんのであしからず(笑)。

 当方、仕事の暇を見つけては、茗荷谷に足を運んで練習をみてたつもりなのですが、よくよく考えたら、自分の編曲した2曲と昨年10月に三短大でやった「群れ」以外は、すべて本番で初めて聴きました(苦笑)。で、これも当方が心配していたよりもずっと出来は良かったです。演奏上の課題は、いろいろあるんですけど(苦笑)、少なくとも大きな事故もなく、少ない練習時間でよくここまで上達したなあ、というのが率直な感想(喜)。今時の学生らしく、あまり感情をダイレクトに出すわけではないのですが、みなさん、満足そうな顔をしながら演奏していた点は好感がもてました。もっとも、おいしいところと伴奏部分などで、練習量の差が歴然と出るのには、困ったものです(笑)。

 で、そんなことよりも(笑)、当方、若い二人の指揮者(大学3年生)の作る音楽に、ちょっとばかり新鮮なショックを受けました。もちろん、指揮棒のテクニックや解釈の未熟さもあることはあるんですけど(苦笑)、それを差し引いても、若い人達の感性だなあ、と少しうれしかったです。当方なんかは、音楽的には極めて「濃い」解釈をしがちなんですけど(笑)、ああいう「あっさり系の感性」ってのも、もしかしてあるよねって理解できたんです。ま、彼らが意図的にそうしたかどうかは良く分かりませんが(笑)、極めて若者らしい「透き通った音楽」のように感じました。と同時に、うーん、自分の音楽ってほんと「濃い」なあ、と苦笑してしまうのでありました。

 それからもう一つ、一音一音が持つ「色」ということを考えさせられた演奏でもありました。どうしても学生の演奏って、「一所懸命弾くこと」が大命題になってしまって、「色」のある演奏ってなかなか出来ないんですよ。で、少し指揮者がまともだと(苦笑)、フレージングやブレス、テンポ変化などで「色」を出し始めるんですけど、一つ一つの「音」でカラーを決めていくことは、実はとっても難しいことだと思います。もちろん、今回の現役学生の演奏が、よくできていたわけではないんですけど(苦笑)、きわめて偶然の瞬間に(笑)、「いい音だなあ」と感じることができたんです。アタックの角度、左手の押え具合、音量バランスなど、多くの要素が絡んでくるんですけど、人数が少ないアンサンブルで一人一人の音がはっきりと会場に聞こえてしまう演奏会だからこそ、そんな小さな発見があったのでした。

 いずれにしても、短大のクラブ活動の1年間を締めくくる一つの大きなイベントが無事に終わって良かったなあ、と素直に喜べる後味の良い発表会でした(大吉)。

 

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三菱商事・東京海上マンドリン・ギタークラブ第16回定期演奏会

 三菱商事・東京海上の演奏会に行ってきました。カザルスホールは、当方がコンマスを務めるメトロポリタンMOの本拠地なんですけど、他団体のマンドリン演奏を聴くのはほんと久しぶりでした。オルガン設置後の音響を確認したいなど、とっても楽しみだったんですけど、結論。やはりカザルスは音もいいし、雰囲気があって華やいだ気持ちになれますね(大喜)。心配だった低音系の響きも、ちゃんときれいに聴こえてきました。会場は、おそらく業界関係者よりも会社関係者の方が多かったのでしょうか(笑)、これまたアダルトな雰囲気で大吉。

 さて、前回聴いた商事・海上の演奏会のスタイルをすっかり忘れていたのかしら、あ、そうだ、山口寛さんがまだ台湾にいたころだったのですね、指揮者の寛さんがマイクを持って司会をかねたのは、慶応マンドリンクラブの服部先生のスタイルとまったく同じです(笑)。こういう演奏会って久しぶりだったので、ちょっとびっくり(笑)。演奏面も、かなりKMCのスタイルに近くて、当方、とっても懐かしいやら、昔の苦労を思い出すやら(笑)で、ちょっと複雑な心境(苦笑)。

 個々の曲についてはスペースもないんで(笑)あまりしませんが、ムニエルの協奏曲は、寛さんのソロを聴けて大吉。曲のあたまなどは、さすがにウォーミングアップなしで、いきなり指揮者からソリストって切り替えが大変だったようですけど、最後の方になると昔の調子を思い出されたようです。で、マンドリン協奏曲を会場で聴くのは当方、それほど多くはないんですけど、ソリストの音とオケの音がどうしても重なってしまい、バランスが難しいな、と思いました。ソリストのテクニックでなんとかなる、という問題ではあまりなさそうで、どうやら楽器の特性なのかな、と結論づけています。ヴァイオリンのソロのように、音色がなかなか浮き出てこないんですよね。特にトレモロ系の旋律で、比較的、低音域を弾く場合は、よほどオケのバランスに気をつける必要がありそうです。

 技術的なことがでたんで、もひとつだけ。このオケの平均年齢は業界内でも高い方なんですけど(禁句?..笑)、この時代のみなさん、とてもトレモロが早いです。マンドリンだけではなくてドラやチェロもまったく同じですねで、これは、関東地区の10〜30代のマンドリン弾きに声を大にしていいたいことなんですけど(笑)、一度こういう演奏スタイルを真面目に研究してみてはいかがでしょうか。かなり無理があるようにみえることも確かなんですけど(笑)、その表現力の豊かさは、やはり一目おくべきものだと思います。当方、基本的にはトレモロは早く弾けるにこしたことはない、と確信しておりまして、これが出来るか否かで、演奏上の表現の幅がそうとう左右されると思っています。どうすれば早いトレモロが出来るようになるかは、よく分からないんですけど(苦笑)、その気にならないとできるはずはありませんので、今のテクニックや弾き方に満足しないで、いろいろな演奏に接してみてはいかがでしょうか?


PS.ゲスト歌手の水織ゆみさん、あの衣装はちょっとびっくりしました(笑)。

 

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明治学院中学校・東村山高等学校グリー・ハンドベル・クワイア第26回定期演奏会

 数年前、ほんと、ひょんなことからこの演奏会のことを知りまして、以来、毎年楽しみにしている演奏会です。みなさん、ハンドベルの生演奏って聴かれたことありますか? これがね、ほんと素晴らしい、なんとも言えない穏やかな気持ちになれる、そうですね、ある意味ではトリップできる(笑)、まさに天上の響きなのです。

 この団体、中高生だからといって油断してはいけません。もともと学内の宗教行事で演奏するのがメインのようですが、活動プロフィールをみると、ほとんど体育会(笑)。夏には1ヶ月の北米演奏旅行、シーズンには連日のクリスマスコンサート、などなど、高度なテクニックと圧倒的な迫力を自認しています。

 この日は、後半のプログラムしか聴けなかったのですが、スッペ「軽騎兵序曲」、「ディズニーメドレー」、「マンシーニメドレー」、終曲がムソルグスキー「展覧会の絵からプロムナード、キエフの大門」(驚)などなど。一人の奏者がだいだい6つぐらいのベルを担当して、全部で14名でしたか、一列にならんでベルを叩くんですけど、その音色の種類、奏法の豊かさなど、初めて聴かれる人はびっくりするんじゃないかな。ちゃんとヴィブラートもするし(ベルを小刻みに揺らします)、弦のピッチカートみたいな音も出せます(テーブルにベルを置いて全体をミュート!)。もちろん、単打、ロングトーン、トレモロなど、マンドリンでもお馴染みの奏法があります(笑)。何よりも、ベルの調律が特殊なのかな、おそらく純正律に近くって(クワイアってChoirですから、まさにコーラスなんです)、そのハーモニーに一点の曇りもないんですね。

 二人に一つの譜面台を立てていたんですけど、どういう譜面なんでしょうね(笑)。音の出る瞬間、とくに早いパッセージで音が流れる瞬間(おわかりになると思いますが、スケールを弾くと例えば右から左に順々にベルを鳴らすんで、文字通り音形が目に見えるんです...笑)など、舞台パフォーマンスも優秀。アンコールではいつもの「剣の舞い」をやるんですけど、隣の人のベルを使うなど、禁断のクロス奏法(笑)が飛び出して、お客さんも大満足(喜)。

 音楽的には、いろいろ注文もつけられるんですけど(ベルのみの演奏で、打楽器類や鍵盤類など他の楽器はまったく入りません。そのため、どうしても低音域が狭いんですよ)、音楽を奏でる喜びというのかな、「聴かせる音楽」という点では、大変勉強になる演奏です。ベルの奏法上、音を伸ばすときは必ず客席にベルの朝顔を向けるんで、きちんとした姿勢でないとこれができません。こういう一つ一つのステージマナーが、例えば一人がだらしないととっても目立ってしまう。降り番の人も含めて、挨拶や曲の始めと終わり、音を切るタイミングなど、大変礼儀正しくて、とっても好感を持てるんです。

 みなさん、だまされたと思って一度この演奏会に顔を出してみてください。ともすると我々が普段忘れかけてしまうたくさんの大事なこと、そう、音楽を奏でる上での大事なことをたくさん思い出させてくれる、そしてなんとも後味の良い、演奏会場に行ってほんとに良かったな、と思わせてくれる、数少ない演奏会なのです。

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アンサンブル・アメデオ第14回定期演奏会

 クラシックのHPなどとは違って、マンドリン業界ではほとんど演奏会レビューというコーナーがないんで、実は文章を書くことには勇気が必要なんですけど(苦笑)、演奏会っていろいろな人がいろいろな感想を抱いて、それが当たり前だと思いますので、あくまで当方の個人的な意見ということでご容赦くださいね。

 さて、本日の演奏会、一言でいうと、チェロパートにブラボー!!(大喜)ってところです。いやあ、ほんとにいい音してましたよ。人数的に有利だったってことも事実なんですけど(笑)、それ以上に音が一つにまとまって聴こえてきて、あるときはホルンやトロンボーンのファンファーレみたいに聴こえたりもしました。マンドリン業界って、各パートで音を揃えることって、とても難しいことなんですけど、今日のチェロパートはほんと一つのパートになっていました。何が良かったんでしょうね?(笑) 何か秘訣があったのなら、どうか教えてくださいませ(本当)。

 曲のレビューにいきましょうか。メンバーのみなさんには予想外かもしれませんが、当方、2部頭の「ナブッコ序曲」が一番良かったです。アメデオらしさかな、亨さんらしさかな、なんかとっても曲とアメデオって団体とマンドリンという楽器のマッチングが良かったです。もちろんね、そりゃ、アンサンブルの乱れなどはいろいろあるんですけど(笑)、なんか雰囲気が出ていました。「椿姫」では、石橋さん@コンマスの音色が透き通ってきれいでしたよ。「ローマの松」は、良いところとあまり気に入らないところが半々ですかね(笑)。でも、もしかしたらこういう曲もがんばればできるのか、と夢を持たせてくれるという意味で、とっても心強いものがありました。以前の「惑星」とか、業界の常識を打ち破った演奏をこれからもどんどん行ってくださいね。そうそう、「松」では、ギターの使い方が結構気に入りました。この手の曲は、ギターの出番がなかなか効果的にはなりにくいんですけど、いい感じでいいところで聴こえてきましたよ。

 一部では、小穴さんの「プレリュード」を聴くのが初めてだったんで、とっても楽しみでした。アンサンブルの乱れは、ま、ご愛敬として(笑)、「天上の響き」がどれだけ聴こえて来るか、という点をずっと待っていたんですけど、うーん、それほどたくさんは聴けなかったかな(ちょっと悲しいモード)。「天上の響き」って、必ずしも冒頭とか再現部の始まり(52小節目)のようなpの音だけではなくって、第1主題のf(16小節目)とかも、そういうなんともいえない暖かい響きがあると思うんですけど、アンサンブルの乱れが気になってしまったのでしょうか、音色にちょっと迷いがあったように思えました。たぶん、あまり力まずにホールの響きを上手く使えば、もっと暖かい音になったのではないでしょうか。「ボエーム」や「イタンリアン・ファンタジー」は、ちょっと難しい曲なのかな。部分部分ではきれいなところが多いんですけど、1曲を通して、起承転結を感じたり物語を感じたりは、あまりできませんでした。もっともこれは、聴き方の方にも問題があるのかも知れませんね(笑)。ま、小穴さんの指揮ぶり健在というところで、昨日の広上さん@日本フィルの後ろ姿とダブってしまいました(笑)。

 もう少し書かせてくださいね。今回のテーマが「イタリア」ということで、イタリア大使館からメッセージをいただいていることには、さすがアメデオと、役者の違いを見せつけられました(感動)。演奏自体にはなんの関係もないかもしれませんが(笑)、きっとこういうことから、メンバーが一丸となって演奏会を盛り上げていくという姿勢が、アマチュアオケにとってとっても大事なことだと思います。その点で、アメデオは、常に当方にとって追いつきたくてもなかなか追いつけない、すばらしい団体なのです(本当)。

 音楽でいう「イタリア」というのは、どういうものでしょうね? 当方、どちらかというと「サンタルチア系」や「オペラ」の歌(カント)と、タランテラのリズムに代表される民族色、それと「陽気なイタリア人」、「女性を体中で口説く色男」ってイメージがあるんですけど(笑)、これをマンドリンの音色で表現するのって、結構難しいと思うんです。マンドリンという当たり前のようにイタリア系の楽器だからこそ、何もしなくても「イタリア」の色がでるか、というと、例えばエンベルガーとかビナッチェ、カラーチェみたいな楽器を小人数で使えば簡単かもしれませんが、100人ものオケでこれを出すということは、実はそれほど簡単なことではないんですよね。やはり、オケのメンバーそれぞれがみんな1週間前くらいから、パスタとワインで暮らしてイタリア人に成りきって(笑)、前の日には「ローマの休日」や「ゴッドファーザーのパート1」みて、イタリア系ファッションで身を固めることが必要ですよね(笑)。アメデオのみなさんなら、そこまでしてくれるかな、ってちょっとだけ期待したんですけど(笑)、さすがに小穴さんだけかな、そこまでトリップできるのは(笑)。

 以上、言いたいことの半分くらいかもしれませんけど(笑)、アメデオの一ファンとして、これからもまだまだがんばって楽しい演奏を続けてくださいね。今日は、本当にお疲れ様でした。そして、メトとクリマンのチラシを挟ませていただきまして、ありがとうございました(感謝)。

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<はむらぼの辛口演奏会レビュー>

日本フィルハーモニー交響楽団第497回定期演奏会

 もう1年ぶりくらいでしょうか。久しぶりにクラシックのコンサートに行ってきました。広上淳一指揮、日フィルの定期です。プログラムは、前半がブラームスのバイオリン協奏曲(独奏:竹澤恭子)、後半がシューマンの交響曲第4番でした。とくにブラームスで独奏した竹澤さんと、シューマン4番は、当方とっても好きでありまして、久しぶりのサントリーホールもちょっと贅沢な気分になれますよね(大喜)。

 さて、ブラームスですが、オケ、ソリストともに出だしの音にはちょっとびっくりしてしまいまして、どうも調子が悪かったのでしょうか。このまま最後までいってしまったらどうしよう、と思ったのですが、数分すぎて感を取り戻したようでひと安心(苦笑)。竹澤さんのバイオリンは、こういう言い方したらまずいかな、ある意味で日本人離れした音だと思いました。格段、音量が大きいわけではないのですが、ホールの響きを極めてうまく使って、高音の伸びなどは、それこそ天上の響きになっていましたね。ヴィブラートも好感を持てました。D線とか、低い音になると、ややノイズが耳につくところもあったのですが、ホールいっぱいに広がる音色は、心地よかったですねえ。オケは、1stが8名だったのかな? 比較的小人数で、ちょっと重々しさとか、弦の色っぽさなどが感じられなかったのが残念。そのためでしょうか、曲の構成力というものがあまり前面に出ずに、広上さんのやりたい音楽がどこまで出た演奏だったのだろう、と疑問に思いました。

 ということで、竹澤さんの格の違いを見せつけられた前半でしたが、後半は1stVlは16名という大編成になりまして、勢いのあるダイナミックなシューマンとなりました。テンポも早くて、4楽章は文字どおり白熱した演奏に。でも、残念なのが木管楽器の音量が、弦や金管に負けてしまって、対旋律が十分に聞こえなかった点。あの編成で、あのテンポにするならば、きっと4管くらいにしないと効果がでないと思いました。

 で、シューマンの4番って、ああいう演奏が多いらしいんですけど、確かに極めてシンフォニックでパワフルな解釈も成り立つとは思いますが、それならばもう少しテンポを押さえて、それぞれの主題なり和声なりを強調して構成感を出さないと、単なる運動会になってしまうのではないかなあ? 2楽章のトリオでは、あのテンポであの編成ではバイオリンソロが聞こえなくなってしまいます。3楽章のトリオでは、バイオリンではなく木管が主となる解釈も成り立つことは理解できますが、あの編成ではA−B−Aの構成を感じることが難しくなります。4楽章のコーダ直前の低音弦からの掛け合いなどはきれいでしたが、あのテンポではSchnellerのインパクトが薄くブレーキが掛かったように聞こえてしまいますよね。

 ということで、シューマン4番は、それぞれのバランスが極めて難しい曲だと思うので、今回はこれがあまり成功していなかったんじゃないかなと思いました。広上さんのあの解釈ならば、もっと少ない人数で例えば古楽器オケのように透明感のある編成で行うべき。あのサウンドを出したいのなら、木管楽器を増やしてチェリビダッケのようにテンポを遅くそれぞれの音を一音一音、丁寧に弾いた方が説得力があるでしょう。

 やはり好きな曲は、極めて辛口レビューになってしまいますね(笑)。でも当日は、ばったり小出先生@メト常任指揮者とお会いでき、いっしょに演奏を聴くなど、大変楽しい時を過ごさせて頂きました。そうそう、日フィルですが、1stバイオリンの内側3プルト目の弓使いがオーバーアクションで、プロの世界でもああいう人がいるんだなあ、と笑ってしまいました。それから、終演時にオケの全員が丁寧に客席に向かって挨拶をしたことは、大変後味が良く好感を持てました。ここで総括。演奏面などいろいろ不満はあるけど、やっぱり生の演奏はいいわ(大満足)。

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