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はむらぼ音楽講座 演奏会に行った!

はむらぼの辛口演奏会レビュー・1999年

<東京近郊編>

Last Updated.2000/3/22

(注)曲名等は正式表記しておりませんので、ご了承下さい。

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<はむらぼの辛口演奏会レビュー>

慶応マンドリンクラブ第163回定期演奏会

 本来は客席で聴いた演奏会をコメントすべきなのですが、今回はリハーサルを聴いただけの反則技。本番は仕事で聴けませんでしたので、演奏レビューそのものよりも、後ろ指さされない程度に演奏会の「舞台裏」を暴露するという新たなシリーズをお楽しみ下さい。(^^

 さて、今回は実況中継モードのレビューです。

9:00 集合

 当日はワタクシの所属するクリマンのチラシを挟み込んでもらおうと、出演メンバーと同じ朝9時にホール入り。我々社会人団体は、受付や受付準備などはほとんどお手伝いを頼むのですが、学生さんはご自分達でやるんですね。2時開演だったので11時過ぎに行けばいいやくらいに思っていたら、朝イチとのことで早起きする羽目になりました。結果的にリハーサルを最初から聴けて大吉。

 10時20分からのリハーサルですが、この間トップ陣は調弦!(マンドリンオケでは、トップ陣が一台一台すべての楽器を調律するんです。ヴァイオリンなどはフレットがないから、音程がずれていたら自分の耳で聞いて微調整できますよね? マンドリン属はそうはいかないので、音感のある!トップ陣がすべての面倒をみるんです。考えてみれば、すごいことだよな。。。笑)、そして手の空いている下々のものは舞台でイスなどのセッティングです。舞台セッティングは重要ですね。見栄えはもちろんですが、弾きやすさや音のまとまり具合など、配置次第でずいぶんと表情が変わります。今回は、ギターの席が気になりました。初心者が多いとのことでしたが、あまりにもステージの内側に向いていて客席からはギターの表面板が見えない状態。あれでは、客席まで音が飛んでいきませんでのご注意下さいね。

10:20 リハーサル開始

 さて、いよいよリハです。自分の演奏会ではないのに、この日はなんだかドキドキワクワク、期待で胸がいっぱいになってしまいました。ところが、ステージはいつまでたっても落ち着かず、スタートは10分ほど遅れたでしょうか。演出担当の金子さんが大声で怒鳴って初めて演奏する状況になりました。良くある風景といえばそうなのですが(身に覚えもありますしね)、大学生の定期演奏会でもステマネはちゃんといますよね? 1分1秒でも大事な当日の午前中を、例え10分でもダラダラして過ごすのは、決して誉められたことではないです。しかも、その状況に対して誰一人として注意を払わない(ように見えました。誤解だったらゴメンなさい!)。通常は、責任者かコンマス、トップ陣、ムードメーカー、タイムキーパーなどが、みんなを引き締める役割を果たすはず。1日のイベントとして重要な時間のはずですから、「誰か」が気を遣わないといけないですね。厳しいようですが、このスタート時点での気持ちの遅れがその後のリハーサルに少なからず影響したと言ったら言い過ぎかな?

10:30 第1部リハーサル

 照明を落として、慶応応援歌「若き血」からの始まり。ところが、なんとしたことか? 我々には常識であったコンマスのスタート「1と2と」が聞こえません。いつの間にか曲が始まっていました。うーん、本番はどうだったのでしょう? 最近の習慣なのかな? 単に声が小さかっただけなのかな? ちょっとびっくりしてしまいました(出だしの掛け声が良い悪いという意味ではありませんのであしからず。我々の時代と全く違う状況だったということをご理解いただきたく)。そんな状況だったので、最初からワタクシ的にはムムムでしたが、音を聴いてもまたまたびっくり。あまりにも貧弱な音しか出ていなかったのです。スネアなどの鳴り物も、極めて控えめに無難に勢いなく演奏されています。弦とのバランスを考えれば当然の結果なのですが、うーん、これにはほんとびっくりさせられました。正直、ちょっとこの後のリハ&本番が不安になった瞬間でした。

 そんなワタクシの不安をよそに、指揮者の小穴さんがいつものようにニンニンと登場(笑)。周囲の雰囲気を和ませています。その間、ワタクシは1階中央の席から、2階席最前列に移動。さっきのひ弱な音はきっと座席のせいだと思いたかったのです。リハは本番の曲順だったと思いますが、1曲ずつ最初から止まらずに演奏して、曲の終了後、気になったところだけを注意していました。オケにとっては一度ステージを踏んだ曲もあったので(11月の岐阜演奏会)、細かい縦のリズムなどの合わせはすでに済んでいるのでしょう。ぢつはこの一部、ワタクシ的にはスコアも読んだことがない曲ばかりで、音楽的な指摘はなかなかできないのですが、どの曲でも小穴さんが優美な旋律を一生懸命演奏者から引き出そうとしていたのが印象的でした。ところがちっともオケがついていかないんですよね(苦笑)。大学生に甘ったるい「艶」を表現して欲しいと思うのが間違いなのかもしれませんが、指揮者が指揮台から降りてパートの中にまで入り込んで身振り手振りで豊かな表情を引き出そうとしているにもかかわらず、なかなかその気にならない(ように見える)オケに、ワタクシとしても歯がゆい気持ちがしました。もっとも、本人達は真面目に表現しようと思っているんでしょうね。これはやはりたくさんの音楽経験をしないと克服できない課題なのかな? でも演奏のビデオなどをみてみると、自分たちの表情がよくわかるでしょうから、いろいろと研究してみてもいいかもしれませんね。

11:30 第2部リハーサル

 1部のリハはおよそ50分間で終了。しつこく練習したのは、3曲目のチェロパートくらいでしたかね。1部を通して、比較的あっさりとしたリハでした。10分間の休憩後、2部の小林先生が登場です。2部も本番の曲順通り。小林先生も小穴さんと同様、基本的には一曲を通してから部分部分の細かい指示を出しています。スラブ舞曲では、音の切り上げをずいぶんと練習していましたね。リズム感が命の曲ですから、ホールの響きに慣れてその中で最大限の効果をあげることが重要です。一部、縦のリズムがあわないとの指摘もありましたが、客席ではそれほど気になるレベルではありませんでした。それよりもこの手の曲はスピード感や音楽の流れが重要、それなりに雰囲気は出ていたと思います。

 で、このころからかな? だいぶ音が出るようになってきました。1部はなんだか8割くらいの力で演奏しているように聞こえましたが(リハで全力を出しきらないってことは、それはそれで重要なことかもしれませんね。この件は賛否両論あるかもしれませんので深入りするのはやめましょう!)、2部はきれいな響きを堪能しました。G線上のアリアでは、なんとも美しい響きでびっくりしたのですが、ワタクシ的にはあの音量の半分だったら絶賛モードだったでしょうね(笑)。表情をつけようとしてどんどん音量が大きくなり、前のスラブ舞曲のニュアンスを引きずってしまったのが残念でした。曲と曲できっちりと気持ちを切り替えることは、比較的短い曲を多数やるこの日のような演奏会ではとっても重要なことだと思います。プログラムの中で、演奏にメリハリをつけるという考え方ですね。

 3曲目、4曲目は、特筆すべき印象はありませんでしたが、音量のピークをもう一段階大きくして欲しかったかな? クレシェンドの頂点をさらに上回る音量やしっかりとした発音で次のフレーズに入ってくれるとうれしいのですが、頂点の2〜3拍前くらいで音量や勢いがピークに達してしまって、そこから先が平坦になってしまうという悪い癖がでていました。難しいことだけど、とくに「発音」がしっかりして欲しいかな? マンドリン属はフレット楽器だから、どう弾いてもポジションとピッキングさえ間違えなければ音程も発音もみんな同じだなんて思ってはいけませんよ。とくにトレモロでは、1発目のダウンピッキングと正拍のタイミングがぴったりだと、実際に出てくる音はおそらく遅れてモヤっとした音で聞こえてくるはずです。ちょっと言葉だけでは誤解を生みそうなので、いつか楽器を手に議論できるといいですね、関係者のみなさま。。。(^^

12:30 リハーサルを終えて。。。

 ということで、リハーサルを終えて写真撮影などに入ったのですが、この日を通じて感じたことをあと3つばかりコメントしておきましょう。第1に演奏レベルです。いろいろと課題を指摘してきましたが、イタリアにお住まいの某プロ@Y沢さんもコメントしているように、ワタクシも予想以上のしっかりとした演奏に少なからず驚きを感じました。気になる点はたくさんありますが、それらはあくまでもより高いレベルを目指すための課題であって、大学生の演奏としては大変しっかりとした部類に入るのではないかと、これからがとても楽しみになってきました。指揮者の小林先生や小穴さんの指導の成果がよく出ていたし、学生のみなさんもよくそれについていっていましたね。自信をもっていいと思います。あえて言うならば、そうした「しっかり」とした音楽が、より自分達の中から湧き出てくるものとなって欲しいですね。練習についても、指摘されたことを鵜呑みせずに疑ってかかるくらいの「自分達の音楽」を持って欲しいと思います。この日の演奏は良い指導者のもとで、「間違った一人よがりの演奏」は皆無でした。この良さが、大人しくて覇気がないと受け止められないよう、演奏者の気持ちまでもが客席に伝わるのが理想的でしょうね。

 もう一つは厳しい忠告。リハに遅刻してくる人が多いのには、びっくりしました。もちろん搬入や受付準備など演奏会の裏方としての仕事がある人が大半だったと思いたいですが、1部だけで10人弱ものメンバーがそれも某パートに集中して、あとからノコノコとやってきました。これではモラルは下がるだけだし、演奏会を朝9時からみんなの手で作り上げるという一体感に欠けますよね。それぞれ理由があるのでしょうが、リハの開始時間を工夫するなど、けじめはしっかりとつけるべきだと思いました。

 最後にリハの目的について。ワタクシのまわりでは、リハ中に演奏者が抜け出して客席で自分達の音を確認することが当たり前になっています。あくまでもお客さんにどう聞こえるのかを自分の耳でチェックし、改善すべき点を見つけていくという考えです。リハでは自分自身が音を出したいという気持ちがあることは否定しませんし、あまりにも虫食い状態でリハをやること自体に意味があるかという問題もあるかもしれません。でも、演奏者のスタンスとして、常に客席を感じて、自分自身の耳で判断するという気持ちを忘れないで欲しいと思います。抜け出すことが無理ならば、カセットデッキを客席に置いて、休憩時間はそれを鳴らしてみんなで聴いてみるという工夫もあるかもしれません。OBなどに積極的にサウンドチェックをしてもらうのもいいでしょう。客席に自分たちの想いを伝えたいからこそ、演奏者自身が一度客観的になる必要があることを忘れないで欲しいと思うのです。

本番のレビューを大募集!

 ということで、本番を聞き逃したワタクシの代りに、どんな演奏だったかレビューをしていただける人を大募集しています。リハの様子やあり方についてのご意見、反論などでもお寄せいただければ、そのまま転載させてもらいますので、よろしければご連絡下さいね。ワタクシ的には、とっても「良い」演奏会だったと確信していますし、そう思えることがなんだかうれしくてしょうがないです。なんだかんだと注文が多くて恐縮でしたが、メンバーのみなさん、とても楽しい一時をどうもありがとーございました。(^^

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<はむらぼの辛口演奏会レビュー>

ARSNOVA「Japan!」

 いやはや、大盛況でしたね(驚)。ぢつはワタクシ、チラシの挟み込みの手伝いをしていまして、開場の1時間前にはホール内の受付で作業をしてたのですが、この時点で当日券待ちのお客さんが並んでいまして、結果的には50人前後の列ができていたようです。カザルスホールの定員は二階のバルコニー席を含めて511名のはずですから、その9割方は入っていたのではないでしょうか。空いている席はほんのごくわずかでしたから、これが関西の演奏団体の実力かと大変羨ましい思いでした。演奏の方も噂通りの白熱したもので、クライマックスは3部藤掛さんの詩的二章の2楽章ですかね、主宰の井上さんのパワフルな独奏が会場を賑わせました。マンドリンの演奏会でこれだけやんやの喝采を聴いたのはほんとに久しぶりで、ARSNOVAのみなさんの熱意や実力が見事に客席に伝わったのでしょう。その意味で、同じマンドリン演奏者として大きな刺激を受けたし、また、多いに考え込んでしまった演奏会でもありました。

 刺激という点からお話しましょうか。まず光ったのが、ソリスト陣の充実です。さすがに独奏コンクール入賞者が揃っていて、その透明感あふれる音色と独奏者ならではの説得力ある表現には感嘆せざるをえませんでした。ワタクシのいる関東周辺では、彼らのようにマンドリンオケの一員としても、そして独奏者としても活躍されている人は、ほとんどいないのではないでしょうか? こうした優秀な演奏者のもとに集まるメンバーですから、オケとしてそうとう懐が深いって印象を持ちました。とっても良く練習をしているのがわかる演奏で、ほとんどミスらしいミスがないといってもいいような気がします。もちろん、個々人レベルではいろいろ不満もあるかもしれませんし(開演前に主宰者の井上さんとお話したときは、強行スケジュールでかなりみなさんお疲れだったと聞きました)、縦のリズムの乱れや押えの利かないテンポなどなど(笑)、粗探しを始めたらキリがないかもしれませんが、ワタクシが聴いた範囲では十分CDに残しても恥ずかしくないというレベル。ま、冒頭でコンマスやチェロトップがいきなり弦を切ったのは、御愛敬ですね(笑)。

 一番の刺激というかワタクシ自身の反省といいましょうか、最近ワタクシの周りでは「音楽を楽しもう」を口実に、ある意味では「完全に弾けていなくても別にかまわない」という考え方が主流となってしまっていることに気づかされました。「音楽を楽しむ」ということ自体は決して間違いではないのですが、本来「弾ける」ものを「この程度弾けていればあとは誤魔化すことができる」「社会人になって練習時間が限られていれば弾けなくても当たり前」と逃げ口上に使ってしまっていたかなあという反省です。恐らく、ARSNOVAのメンバー内では、「弾けないことは恥かしい」という気持ちが当たり前になっているのでしょうね。これはこれでとても大切なことだと思うし、我々にとっては謙虚に見習うべきことだと思いました。

 考え込んでしまったことは、ぢつはたくさんあるのですが(苦笑)、まずはARSNOVAの「音」について。本番前に、井上さんからカザルスの音響についていろいろと悩まれていることをお聞きしました。音の響きがイメージ通りではないとか、客席ごとにだいぶ印象が違うなどなど。。。で、ワタクシも期待していた1曲目の一番最初の音に、それほど強いインパクトを感じることができませんでした。音がもう少し「固まり」になって客席に届くかと思ったんですけどね。カザルスはワタクシ自身、もう何度もステージに乗っているので、客席のどのあたりが一番良い響きをするのか理解しているつもりですし、その場所に座ることができたのですが、自慢の低音系についても驚くほどではなかったし(良く指が動いて上手に弾けているとは思いましたが、、、)、音がどんどん天井に吸い込まれていくような感覚がありました。ワタクシの周りでは落合の楽器を使っている人が大半なのですが、ARSNOVAのみなさんはカラーチェですか? 高音域でかなり金属的な音がするようにも聞こえ、一生懸命フォルテを出しているのですが全体的に「音圧」が足りないように感じました(もっとも通常のオケと比べれば、マンドリンオケに音圧を求めるのは酷かもしれませんね)。普段のワタクシの周りの奏者に比べてはるかに回転の早いトレモロで弾きまくる姿はインパクトがあったのですが(ワタクシ、基本的にはトレモロは早く弾けなければいけないと思っています!)、迫力のあるフォルテというよりもザワザワという印象の方が強かったです。

 で、残念だけどこんなものかなと思っていたところ、3曲目ですかね、吉水さんの冒頭のサウンド、これはほんとに美しいと驚かされました。無理のない音の出、トレモロの柔らかさ、それぞれの音が溶け込んだ絶妙なハーモニー、、、なんだ、とってもいいぢゃないって見直してうれしくなってきました。そして、ソリストたちの音色を聞くにつれて、きれいな「音」がとても羨ましく、また心地よく感じられました。で、ふと我に帰って感じたのですが、師匠の受け売りになりますが(メトの編曲をご覧下さい)、マンドリン本来の魅力を考えたら力で押し切るフォルテはほんとうに必要なのだろうか、という気持ちです。確かにマンドリン合奏特有のガサガサしたフォルテ(笑)はそれなりに魅力ではあるのですが、その表現にはそれほどバリエーションがないですよね。チェリビダッケの演奏を聴けばすぐわかりますけど、決して鋭くない表現豊かなフォルテがたくさんでてきます。この「豊かなフォルテ」をマンドリン合奏で出すことは相当難しいし、ましてや各パートの絶妙なバランスによって音が溶け込んだ金管楽器のような「音の固まりとしてのフォルテ」は、ほとんど聴くことができないのではないでしょうか。マンドリンの音色って、最後まで一つにはならないってことは、ささざき歴史27話での近藤先生談ってところをご覧いただくとして、こういうことに気が付いてしまったら、単純に「迫力のある演奏」とか「頑張って弾いている演奏」ってものに素直に感動できなくなってしまいます。おそらくARSNOVAのみなさんは、フォルテの音に自信を持っているだろうし、これを否定すべきではないとは思うのですが、ワタクシが心動かされた「音」は、ARSNOVAの繊細なピアノであり、ソリスト達の音色だったんです。

 ということで、なんだか長くなりそうな予感がしてきました(笑)。とりあえず第一弾としてここまで公表させていただくとして、また近々、今度はプログラムについてお話したいと思います。このプログラムについては、日本全国のマンドリンファンの方々を敵にまわす発言になるかもしれないです。。。(^^; 慎重に言葉を選んでいますので、もう4〜5日くらい下さいませ(願)。

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 4〜5日と嘘ぶいてから1ヶ月以上もたってしまいました(反省)。ということで早速続きのレビューですが、この日の演奏会には、ワタクシ的には2つの期待がありました。一つは、関西で大活躍しているARSNOVAがどういう音を出して、どのような音楽性を持つ団体なのか? そしてもう一つは、ワタクシ的にはあまり良く知らない分野である日本人作曲家のマンドリンオリジナル作品がどのような内容をもつ曲なのか、という期待でした。

 結果的にいうと、後者のオリジナル作品については、残念ながら失望させられました。個々の作品がどうこういう程、作品自体を研究していないし、ワタクシの勉強不足・認識不足が多々ありますのでコメントできる立場にはないのですが、「Japan!」と称された演奏会でこれだけ作品を並べられたら、大きな流れはわかるし、音楽的な特徴はどうしても目についてしまいます。演奏会を聴き進めるうちに、ごいっしょした某S山氏と目をあわせて、「どーして現代日本人マンドリンオリジナル作品って、こうも同じような曲ばかりなんだろうね?」という感想しか持ち得なかったんです。好き嫌いというレベルであれば、こういう作品群(あえて作品群として一括りにしてしまいますけど、このこと自体、問題がある捉えかたではありますね。。。苦笑)の中にも、ワタクシとしても好きな曲、嫌いな曲はあります。それに、この手の音楽が好きで好きでたまらないという人がいても、人それぞれで決して悪いことではないと思っています。

 ただ、マンドリン音楽の可能性、あるいはクラシック音楽全般の中での位置付けという視点から考えると、どうしても暗い気持ちにならざるを得ませんでした。最近、あちこちの掲示板などで、「オリジナル作品をもっと見直そう!」とか「編曲論争」、「なぜオリジナル作品が普及しないのか?」などの議論が数多くされていますよね? この手の議論では、だいたいオリジナル作品の中にももっと良い曲があるから、編曲もの(たいていは管弦楽作品という意味で使われますね)は必要最低限にすべきだ、などの意見が強く出されます。ワタクシ的には、どういう作品をどういう形(オケの編成やどういう演奏会で取りあげるのか、どういうプログラムを並べるのか、など)で取り上げるかということ自体が、その演奏者や団体の主張、ポリシーだと思うので、その善し悪しを選ぶのは聴衆だと思っています。ですから、オリジナル作品か編曲作品かという軸での議論は、それほど意味があるものとは思っていません。それでもこれから指摘するようなことを感じてしまうと、とりわけ邦人マンドリンオリジナル作品に対して、あまり大きな期待を持ちたいとは思えなくなってしまうのです。

 ワタクシが気になる点。いくつかあるのですが、まず作品の構成力が弱いという点です。すべての曲が強力な構成力を持つ必要はないと思うのですが、ある程度曲の長さをもつ作品では、どうしても曲の構成というものを意識せざるを得ません。この構成力が、多くのマンドリン作品で弱いのです。たいていは単純な3部形式か4部形式(こういう言い方はあまりしないかな? 組曲的な作品は4つか5つの部分に分けられますね)でできており、それぞれの主題はあまり相互に関連性を持たなかったり(そのようにワタクシにはみえる)、主題の展開や発展、変形という試みが弱いように感じられます。その結果、クラシック音楽で基本ともいうべきソナタ形式の作品がとっても少なく、たいていは組曲や前奏曲的に流れる旋律の羅列で止まってしまっているような気がします。現代作品において、ソナタ形式の役割はかつて程の力を持っていないという意見もあるかもしれませんが、それならば十二音技法やコラージュなど、いくらでも野心的な試みがなされてもいいようなものの、ワタクシの知る範囲ではこういう作品は極めて少ないと思います。

 構成力が弱いと思えてしまうもう一つの理由が、マンドリン合奏におけるオーケストレーションの問題です。スコアを見ればわかりますが、たいていは極めて単純なオーケストレーションの作品が多いです。これは弾きやすさの追求、あるいは委嘱元の技術力や楽器編成が考慮されていることを考えれば、ある程度仕方がない部分がありますね。しかし、文字通りこういう作品がほとんどで、どれも同じようなオーケストレーションしかされていないような印象を持たざるを得ないんです。楽器編成もマンドリン4部(1st、2nd、Dola、Cello)+ギター1部+ベース(一部ローネ)という基本編成ですね。オリジナルオーケストラ作品なのですから、もっともっと楽器特性を追求していろいろな編成を試みて欲しいと思うのは無理な注文なのでしょうか? ワタクシの参加しているメトがすべてだとは思いませんが、我々が委嘱をお願いした作曲家の方々は、例えばマリンバとの共演やヴァイオリンの弓を使うソリスト群、オーケストラを二つに分けるなどなど、とんでもない(笑)要求を突きつけています。管弦楽作品であっても、例えばマーラーとレスピーギではオーケストレーションの発想が違うでしょうし、ラヴェルやバルトーク、ストラヴィンスキーなどは、あちこちに彼ららしい独特のオーケストレーションや楽器編成がなされています。

 楽器編成だけでなく、音の重ね方なども工夫が足りないような気がします。あるいは内声部分の完成度がどうも低いような気がします。和声もオクターブや3度、5度などの単純なものが大半で、フレーズの処理があまり上手とは言えないかもしれません。セカンドパートやドラパートなどを弾いていると、突然メロディのオクターブ下などを弾かされますよね。あるいは、常に弾きっぱなしであるとか、音域が狭くいつも同じようなところしか弾かないなどなど。そしてギターの使い方も不満度大なのですが、あくまでもリズム楽器としてしか捉えられていないような気がします。ギターという楽器の特性から、5人10人集まったギターパートでリズムを正確に刻んだり、微妙なニュアンスを出すのはかなり困難なことだと思うのです。その結果、単純なコードのアルペジオで1拍目だけ強調されるような演奏になってしまうか、あるいは強引に(たまに不協和音を交えて)コードをかき鳴らすようなオーケストレーションしかできないんです。それでもマンドリンのトレモロの中では聞こえにくいんで、裸で目立つ個所をいくつか散りばめていく。。。

 この他にも、例えば変拍子の取り上げ方や和声法など、まだまだ不満はあります。押しなべて、10分から15分程度でそこそこ難しい作品。一つ二つ泣ける旋律やきれいな和声(テンションを使うケースが多いですね)があって、最後はパワー全開でバランスやニュアンスなどへったくりもなくフォルテを鳴らせばそれでおしまい。そんな曲ばかりのような気がしてしまうのです。もちろん、ある人達にとっては面白いと思えるでしょうし、確かにワタクシにもそういう時期があったことは正直告白します(笑)。それでも、いろいろな音楽を接してみると、この手の作品群は何度も何度も繰り返し鑑賞する作品とは思えず、どれも同じような曲としか感じられないのです。そして、うまく表現ができないのですが、ビバルディ、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンなどなどの、いわゆる「偉大なるワンパターン」とも、レベルが違うような気がするのです。

 ARSNOVAのみなさんは、CDでも聴けるようにいろいろなジャンルや可能性を追求していますから、狭い考え方にとらわれている団体だとは決して思っていません。だからこそ、こういう作品をどう評価し、これからの団体活動にどのように活かしていくのかには、大変興味を持ちました。今回、邦人作品を意欲的に取り上げたこと自体、大変評価すべきだと思いますし、曲数が多いとか演奏会が長かったなどの意見にはあえて耳を傾けなくとも良いと思っています。だからこそ、これからは単純に「邦人オリジナル作品」と一括りにせず、その中でARSNOVAとして評価できる曲たちを選別し常に発信し続け、マンドリン愛好家やクラシック音楽ファンにその存在を知らしめて欲しいと思いました。ワタクシの意見は意見として、ARSNOVAの演奏会ではARSNOVAがルールブックで良いと思います。今後、この団体がどのような曲目をとりあげ、どのような演奏を聴かせてくれるか、はやりワタクシ的にはまだまだ注目したいし、大きな期待を寄せてみたいと思いました。

 【補足】ぢゃあ、おまえはどんな作品を評価するんだ?って言われそうなんで(笑)、この日のプログラムでは、ワタクシはアンコールの藤掛さんの「ロックンマーチ」が気に入りました。なんだ、こういう作品もあるんぢゃないって、ちょっとうれしくなりましたね。スコアを入手していろいろと研究してみたいと思いました。もっとも、この日に初めて聴いた曲なんで、詳しく勉強したら意見がまったく変わってしまうかもしれませんけどね。。。笑

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<はむらぼの辛口演奏会レビュー>

アマチュア社会人演奏家による奏楽堂室内楽コンサート

 ワタクシのようにマンドリン・オーケストラとして活動していると、どんなに少なくとも30人、いつもはだいたい4〜50人くらいで一つの演奏会を開催します。ワタクシにとってこれが当たり前の状況だったのですが、そうですね、室内楽演奏者というのは演奏会を開くこと自体が大変なことなのですね。ましてや社会人となると、人前で演奏する機会は数少ないでしょうし、練習場の手配から集客、その他のマネージメントなどを考えるだけで、相当のパワーが必要だと思います。ということで、この日の演奏会には全部で5つの団体が参加しました。おそらく団体同士、ほとんど面識がないのかもしれませんね。そのせいでしょうか?一つ一つの団体の個性の差が、とっても興味深かったです。とくに、この日の演奏会に対する思い入れや、人前で演奏することの意味、などにずいぶん差があったような気がしました。どこがどうだっていうのは、、、あはは、どうかご容赦下さいね(笑)。

 さて、個性といえば、室内楽の演奏会はワタクシほとんど行ったことがなく(考えてみればピアノやヴァイオリンのリサイタルなどばかりですね。弦楽四重奏もほんの数回しか行ったことがありません)、それだけでも新鮮だったのですが、これほどまでに演奏者の個性が客席に伝わるものかとちょっとびっくりしました。どのような音楽が好きで、どのような音楽を目指しているのか、はたまたその日の体調や集中力がどのくらいあるか、などなど、プレーヤーとしての良いところ悪いところみんなバレてしまいますね(笑)。そして、そんな演奏者一人一人の個性と個性がぶつかり合うのが、室内楽の楽しみなのだとあらためて理解しました。

 こういう室内楽の楽しみを覚えてしまうと、一人の聴衆としてはかなり意地悪くなってしまいます(笑)。個性と個性がぶつかり合うわけですから、技術的にはほとんど完成されていなくてはいけないでしょうし、協調する部分とぶつかり合う部分のコントラストなどを求めてしまいます。つまり、この日のワタクシのように、普段以上に演奏に緊張感を要求するようになってしまうんです。逆にいうと、緊張感のない演奏には、あまり面白味を感じることができなかったし、緊張感のある演奏には惜しみない拍手を送りました。もちろん、音楽の楽しみ、室内楽の楽しみは、緊張感だけではないでしょうけど、この日のワタクシがそういう心境だったとご理解下さいね。というわけで、あの暑い日の上野のセミの鳴き声やどしゃぶりは、ほとんど気になりませんでしたよ(笑)。

 それぞれの団体の演奏について、少しだけコメントしましょう。トップバッターの「すちゃらか五」ですが、今回がデビュー戦ということのようで無理もないのかもしれませんが、もう少しアンサンブルとしての経験が欲しかったですね。個々人の技術はそこそこあるのですが、アンサンブルの音がもう少し出ると、曲の面白味をもっともっと引き出せたような気がしました。「アンサンブルにいに」ですが、これはみなさんもご存知、まるまがじんのオーナー様がビオラを弾かれた団体ですね。ひよっこの嘆きと御自身レビューを書かれていましたが(笑)、こういう音楽を奏でたいんだという気持ちが伝わる演奏でした。今回はどうやら「後輩」達がソリストを勤めたようですけど、それを「先輩」達が暖かく見守りながら伴奏するという美しい光景(笑)。で、それぞれの音の主張など、まだまだ上をみたらきりがないのでしょうが、ワタクシ的にはこの団体の1stVnソロの音色がとっても気に入りました。素直で清潔感のある音でしたね。

 「足立金管アンサンブル」ですが、シティオーケストラのメンバーだそうで、演奏に対する余裕や舞台慣れという意味では、一番安心感がありました。ただ、エワルドの曲ですが、もともと弦楽四重奏曲だそうで、これを難しいのを承知で金管アンサンブルで演奏したようです。あちこちに、弦独特のフレーズが出て来るので、ワタクシ的には原曲の方が面白そうだと思いました。休憩を挟んで、次は「東京木管クラブ」。一般公募のアンサンブルで、仲良しグループではないとのことですが、息のあった演奏ができないなど深刻な問題を抱えているなどのコメントが書かれていました。確かにそうした問題があるんでしょうけど、事実は事実として、あまり聴衆には言い訳して欲しくないかな(笑)。このアンサンブルは、「すちゃらか五」と楽器配置が違ったのですが、舞台上手にオーボエというのは、ワタクシ的には結構気に入りました。オーボエって木管の中でもどうしても異質な楽器ですから(音域にもよりますけど)、こういうレイアウトが効果的かもしれませんね(木管五重奏ってCDでしか聴いたことがなく、レギュラー配置って良く知らないんですよ。(^^; ) ハイドンのディベルティメントってタイトルを知らなかったんですけど、なんだ、あの有名な曲なんですね。ブラームスのハイドン主題のテーマそのものでした。

 最後が「Ensemble MIYU」。もともと弦楽三重奏団のようですが、今回は5人の仲間が加わりシューベルトの八重奏に取り組みました。で、この曲の出だしの和音を聴いたとたん、びっくりしましたね。文字通り気合の入った音で、音程もすばらしい。技術的に上手いということは、それだけで十分聴衆を魅了するものだと、つくづく感じました。パンフレットには、「貴重な晴れ舞台、どうせやるならみなさんを唸らせてみたい」という頼もしいお言葉(笑)。でも、それが言葉だけでなく、本当に聴衆を唸らせる演奏だったので心底感動しました。ワタクシの周りでは、アマチュアなのだから楽しく弾ければいいという考え方が大半なのですが(その考え方を全面的に否定するつもりはありませんけど)、アマチュアだからこそ大曲に挑んでお客さんを「唸らせる」ってコンセプトは、文字通りアマチュアの特権ともいえる素晴らしいものだと思いました。そしてそれだけの実力と努力の成果ががビンビン伝わる演奏で、正直いいますと、ワタクシこの余韻を楽しみたくて演奏終了後すぐに会場から立ち去ってしまいました。演奏会でこういう経験をしたのは、もしかして初めてかもしれません。演奏者にとっては、100%の実力は発揮できなかったかもしれませんし、上手くアンサンブルできなかった個所もあったとは思いますが、これだけの思い入れと実力を目の当たりにすると、こちらも今度聞くときは(この日は1、2、6楽章しか演奏しませんでした)この曲を徹底的に勉強して自分のものにしておこうと思いました(笑)。

 ということで、2時間半ほどのたっぷりとした演奏会だったのですが、良かった演奏や団体には、当たり前のようですが共通の特徴がありました。「音楽」そのものに対する思い入れももちろんあるのですが、文字通り「演奏」に対する思い入れがあり、そして演奏中にメンバーの間で「会話」が交わされていること、そんな共通項なんです。ある団体ではそれが目と目で会話していましたし、別の団体では練習で打ち合わせたことをそのまま再現することで「信頼感」を交わし合っていました。場合によっては、練習時とはまったく違う表現で演奏に緊張感をもたせたところもあったのかもしれませんね。こうして考えると、音楽が今ここで作り出されるという感動を与えてくれた一日で、とっても後味が良かったです。もしかして、室内楽、これから病み付きになるかもしれませんね。。。笑

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<はむらぼの辛口演奏会レビュー>

第72回青少年音楽祭〜マンドリン部門

 またまたジュネスの季節がきました。今回は、ワタクシ、1部のマンドリン部門しか聴けなくて残念だったのですが、その分、マンドリン部門には「辛口」レビューといきますか。。。

 まず、第一印象なんですけど、ワタクシ的には残念ながらかなり悪い評価です。どうもね、マンドリン音楽というかマンドリン演奏の嫌な点がたくさん目立ってしまった演奏だったかな? これは指揮者の責任半分、演奏者の技術・音楽性半分ってところでしょうか。マンドリン合奏にそれほど詳しくない方たちは、きっと楽しめた演奏だったと思うんですよ。とってもわかりやすい解釈だったし、それなりにマンドリン合奏の魅力を出せるプログラムだったですからね。でも、ワタクシにとって「音楽祭」や「ジュネス」という場は、ああいう演奏で満足するようなレベルではないんです。やはり関東近県では、トップレベルのメンバーが揃っているし、指揮者や副指揮者、トレーナーなどなど充実したスタッフがいるから、それなりの演奏をすることができるし、その実現こそがジュネスに参加する(メンバーとしても聴衆としてもね)意義だと思うのです。この辺で、ワタクシとは意見があわない人もいるだろうし、今回の演奏で十分満足した人も多かったみたいなんで(周りの若い人たちがとっても嬉しそうな顔をしてましたよ。。。笑)、以下のコメント、あくまでも15年もマンドリンを続けている人間の愚痴モードということで。。。笑

 まずは、全体感から。どうも、今回の演奏はどの曲もテンポが微妙でしたね。決してわからなくはない解釈なんですけど、マンドリン奏者にはちょっと弾きにくいテンポだったと思います。というのは、マンドリンとドラ・チェロでは、心地よいトレモロの速さって違うんですけど、両者のベストテンポのちょうど中間というか、どちらにとっても微妙にずれたテンポだったような気がします。指揮者の岡田さんは、ワタクシ初めてだったんですけど、マンドリン部門の経験は長いのかな? 合唱畑の人のようですけど、その実力をイマイチ発揮できなかったような気がしました。一つ一つとっても丁寧な演奏を心がけていたみたいで、それはそれで好感をもてたんですけど、悲しいかな、フレット楽器ではピッチやハーモニーが最後まで微調整できないんですよね。指揮を振っていても、ちっともサウンドが変わらないんで、御自身でもイマイチ納得が行かなかったのではないかな? そのために、どの曲も盛り上がりのピークがあやふやになってしまって、単調な音楽に聞こえてしまいました。

 1曲目、「ローラ序曲」。この曲は、ワタクシが高校3年生の定期演奏会で演奏した思い出の曲(喜)。マンドリンは3回も難関の16分音符早弾きがあって、最近ではあまり演奏されない曲かもしれませんね。で、今日の演奏で残念だったのは、ずいぶんと縦のリズムがずれてしまったこと。NHKホールはステージがとっても広くて、隣りのパートの音が聞こえにくいなど、確かに弾きやすいホールではないんですけど、どうしても低音パートが遅れてずれているように聞こえてしまいますね。これは、基本的なことなんですけど、やっぱりフレーズの出だしをはっきり発音して、自分たちがリズムを作っていくという考え方が徹底されていないところが原因かもしれません。どうしても、どこか別の場所で刻まれているリズムに「あわせる」って発想にとどまってしまっているんですよね。自分たちの出す音で、リズムを作っていくということがとっても重要なはずなのに、「何かにあわせる」ってことにとどまっている。今日のようにステージ上で隣りの音が聞こえてこないと、拠り所がなくなってしまって結果的にアンサンブルが乱れてしまうという状況のような気がします。とくにね、マンドリン系では、単打とトレモロの差が大きかったかな? フレーズの中の16分音符の部分(単打ですね)で、すっと音圧が抜けてしまってフレーズ感が途切れてしまうってことが多かったです。

 2曲目、「マンドリン・マンドリアーレ」。高校や大学の定期演奏会を除くと、関東地方ではおそらく3度目の演奏かな? 初演(小出先生指揮だったかな?)、再演(国分先生の指揮ですね)とワタクシ2回演奏したんですけど、今回の岡田先生のテンポが一番早かったかな? どうも3拍子に聞こえてしまって、8分の6拍子の感じが出なかったような気がしました。解釈としてはかなり難しい曲なんで、まだまだワタクシも完全に理解できていないんですけど、なんだかこの曲って、演奏するより聴いていた方が楽しいかもしれない。。。(^^; 今日の演奏は、あちこちに出て来る主題がイマイチ明確ではなかったような気もしますが、それなりにいろいろな音が聞こえて面白かったです。でも、中間部のウネウネで、セカンドマンドリンやドラかな? グリサンドで低音から高音まで動く場所があるんですけど、行きはよいよい帰りは、、、ってことで、高い音から低い音へのグリサンドが全然駄目ですねえ。。。笑 マンドリン系では確かに弾きにくいことは弾きにくいんですけど、上がっていく音はそれなりに気持ちよく(ここでは気味悪くですけどね。。。)音が上がっていくんですけど、下がる方は始点と終点しか聞こえてこないっていう初歩的なミスがありました。そうそう、良いところを探すと(笑)、この曲は比較的ギターが頑張っていたような印象を受けました。鳴りやすい音域なのかもしれませんが、存在感があってワタクシ的には大吉かな。

 最後のラッタ。これはねえ、、、正直、ムムムムムですね。いくつか敗因があるんですけど、根本的には譜面の問題です。おそらく中野二郎先生の譜面を使ったんだろうけど(違うかな? 音は同じような気がしたんでね。。。間違ってたらごめんなさい)、申し訳ないですがこの譜面はワタクシあまり信用できないんですよ。もともとマンドリンのオリジナルみたいですから、どこかに原譜があるはずなんだけど、あちこちで変な音がするんです。そもそも和声をはずした変な音が多いうえに、オーケストレーションが悪いんで(あえて言い切りますけど。。。)、響きが濁ってしまうんですよね。おそらくそのウネウネ感がこの曲の魅力なんだっていう人が多いと思うんですけど(笑)、やっぱりいかんですよ、間違っている音はやっぱり間違っているはず。。。(危険な発言だけど、ワタクシはそう思うということで。。。) とくにね、今回は大きな編成だったんで、オルガンを入れたんですけど、これがまた変な響きを作ってしまっているんです。変な音域で音をぶつけるんで、どうしても違和感が残ってしまって、いい音楽とは思えなくなってしまいます。それとね、オルガンのような楽器を入れてしまうと、とくに白玉の長い音符で和声を補うように入れると、ピッチの問題がどうしても浮かび上がってしまうんですよ。今回はティンパニもイマイチ、ピッチがいいとは思えなかったんですけど、これと弦とオルガンとで、響きは濁りまくってしまったような気がします。曲の前半の最後のDの音、こういう所でとっても目立ってしまうしね、曲の最後の行進曲の部分でも微妙に異なるピッチが耳についてしまいました。おそらく個々の演奏者のレベルでは、解決しようがない問題なんで、やっぱりマンドリン合奏では、こういうオーケストレーションはしてはいけないと思ってしまいます。

 原典主義ってこともあるのかもしれませんが、ジュネスという演奏会は、普段とは違って「音楽的」にいろいろ背伸びをできる場であるはずだから、ワタクシ的にはもっと譜面のことまでいろいろと研究してほしかったな。ましてやこの曲は、音楽祭では何度も弾かれている曲のはずだから、安易に過去の演奏に頼らないで、真摯に音楽を追求してほしかったです。そしてそういう頑張りをするところがジュネスという団体なんだと思って欲しいなあ。。。

 最後に二つ。「ローラ序曲」のドラソロ。イケガクのS谷君の音ですけど、深くていい音出していましたね(喜)。二つの弦がずれてしまったときに、左手の押さえでピッチを微調整できればもっと良かったと思いますけど(笑)。もひとつ、マンドリン系。今回は前のS折君コンマスの音しか聞こえてこなかったですよ。ワタクシ3階席の中央からややギター寄りで聴いていたんですけど、後ろからの音がほとんどなかったのが残念。昨年はバランス良く聞こえてきたのに、今年は前の方からしか聞こえてきませんでした。ということで、今回はかなりの辛口モードでしたけど、それだけ若い人たちへの期待が大きいということで、これからもますます精進してくださいませませ。

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<はむらぼの辛口演奏会レビュー>

クリスタル・マンドリン・アンサンブル京都特別公演

 2週間前の東京公演と基本的には同じプログラムですが、クリマンでは10年ぶりかな? 東京以外での出張公演となりました。ワタクシが知る範囲では、以前、ヨーロッパ方面に演奏旅行をして以来の本拠地外での演奏。もっとも当時とは、メンバーもだいぶ入れ替わりましたので、事実上は初めてのアウェイ経験ということになりますです。

 で、まずはホールの印象から。京都御所前のアルティホールですが、客席数のわりにはステージが広く天井もとっても高いので、メンバーにとってはかなりやりづらかったです。舞台の山台が自動制御でいろいろ細かく動くのに感心したり、客席の残響コントロールにいちいち騒いだりと、完全にお上りさん状態だったんですけど(笑)、なんとか本番までには響きをつかんだかなというところ。いつもの東京・武蔵野市民文化会館は、狭いステージと豊かな音響が特徴なんで、演奏していてとっても音が身近に気持ち良く感じられるんですが(大吉)、ぢつはクリマンってこの響きをある意味では最大の武器にしているんですよね(笑)。15年近く同じホールで演奏していると(第1回は別のホールだったかな?)、自分達の演奏がホールの響きにあわせたものになっていきます。とくにマンドリンアンサンブルでは、トレモロや単打の区別、音の消し方、スタッカートの程度など、微妙なさじ加減で雰囲気がだいぶ変わりますんで、こういう普段とは違うホールでの演奏はオケとしての実力や癖が如実に表れてしまいます。ま、それがワタクシ的にはとっても楽しかったのも事実なんですけどね。

 さて、響きにも慣れたところで、本番の演奏ですが、うーん、可もあり不可もありで、ワタクシ的にはちょっと疲れてしまったかなって感じ(苦笑)。調弦がなかなかあわなくて、集中できなかったのが残念でした。でも、お客さんからの感想を聞くと、低音パートが充実していたとか、マンドリンでも後ろの席からちゃんと音が聞こえたとか(あはは、ワタクシ最後列だったんですよね。。。大吉 あれ? それとも2列目の酒○君の音が大きかったのかな?)、指揮者のパワフルさ健在とか、かなり好意的なお声をいただきました。全体的に、東京公演よりも演奏ミスが少なく無難にこなせたと思っていますです。もっともその分、熱気や演奏への思い入れが少し色褪せてしまったかな、という地方公演にはありがちなパターン(笑)。当日は小雨だったので、湿度の影響でしょうか? それぞれの調弦がかなり狂ってしまって、響きが少しにごってしまったことが残念でした。

 それぞれの曲の出来不出来については、あまり東京公演とは変わらなかったのではないでしょうか。東京公演のテープを聴いて、テンポ設定や楽器間のバランスを若干修正しましたが、演奏の本質ががらりと変わる程のものではありませんでした。1曲目のボエームパラフレーズは、よりあっさりと弾いたのですが、ダラダラと音を引きずってしまった東京公演よりはいい雰囲気がでたかもしれません。京都公演のみで演奏した「古城の物語」は、冒頭のベースとギターのユニゾンが上手く雰囲気を作れなくて心配だったんですけど、会場の音響に助けられたかな? なんとか曲になったという感じです。

 ということで、ホームグランドではないというハンディ下、さすがにお客さんが少なかったのは残念でしたが、それでもとっても暖かい拍手をたくさんいただき、演奏会としては大成功といっていいと思います。で、打ち上げには、エルマノモザールの皆さん、マンドリニストの石附さんなどもご参加いただき、大盛況でした。この業界につきものの(笑)、「関東の音」と「関西の音」って話題が出たんですけど、ワタクシにはあまりよくわからない世界(苦笑)。カラーチェの乾いた音を力で押し捲る関西と、落合のポロポロとした音で繊細に弾く関東の音って図式なのかな? あ、これって問題発言でした?(笑) すいません、この辺の事情やどういう音が正統派で評価が高いのかって、ワタクシ、超シロートなものでして、失言や大きな誤解がありましたらお詫びしますね。(^^;

 最後に、終演後、ホールの出口でちょっと時間をつぶしていたんですけど、受付では急遽、コンマス青山さんがサイン会を始めたりして(見事な営業スマイルでした。普段みられない青山さんの表情がおかしかったな。。。笑)なんだか微笑ましかったです。そうそう、自転車で会場にお越しいただいた方々が多かったのには驚きました。東京ではちょっと考えられない風景ですよね(笑)。そして、出口でみなさんが口々にアンコールの「私のお父さん」を鼻ずさんでいたのが、この演奏会の成功をあらわしているなと、とってもうれしく思いました。京都のみなさん、どーもありがとーございましたです。今後とも、またよろしくお願いしますね。さ、次回は大阪、神戸あたりに行きたいですね。

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<はむらぼの辛口演奏会レビュー>

クリスタル・マンドリン・アンサンブル第15回定期演奏会 東京公演

 ほぼ同じプログラムでの京都公演(3/13)を前に、東京公演のレビューを書くのはちょっとばかり、りすきぃなんですけど(笑)、新鮮な情報をモットーにしている「はむらぼHP」なんで、良いとこ悪いとこ、やっぱり一人のメンバーとしてちゃんとコメントしましょう。。。

 今回の特徴は、久し振りに熱い演奏だったってことかな?(笑) ワタクシ的に言わせれば、オケにはそれぞれ得意分野・不得意分野があるってことなんですけど、波長があったときのパワーはやっぱり人の気持ちを揺り動かします。逆に言うと、曲による演奏の善し悪しがちょっとはっきり出てしまったかなって反省ですね。

 昨年の演奏会は、クリマン始まって以来の集客力で、武蔵野市民文化会館の小ホールが満席&立ち見状態になりました。450名という集客だったんですけど、今年はちょっぴり減ってしまって、公式では393名だったとか。でもステージ上からみれば、ほとんど空席が目立たずに、立ち見の方も数名いらっしゃったので、とっても気持ち良く、また、気持ちを引き締めて演奏することができました。客席が埋まると、我々ステージメンバーも気分的にハイテンションになりまして(笑)、それだけで刺激的な演奏になりますね(笑)。で、なんでも、比較的年配の方が多かったみたいで、集団おばさんがかなりの人数で来られていたとか。どうやら、コンマス青山先生の固定客がたくさんいらっしゃったみたいです。(^^; 一方、ワタクシが初めてクリマンに参加した10年くらい前に比べて、学生さんのお客さんが少なくなっているような気がしますです。オケメンバーの年齢層がだんだんあがっていくにつれ、しかたがないことかもしれないけど、ちょっぴり残念ですね。

 さて、先程の「熱い演奏」ですけど、これは久保田先生の曲でピークを迎えたのかな? それとも終曲ラッタの「英雄」かしら。ワタクシ的には、1部1曲目から、テンポが普段の練習よりもかなり早くて(もっともクリマンにとっては、いつものことなんですけど。。。笑)、これでメンバーのオシリに火をつけたった印象があったんですけど、マンドリンオリジナル系の曲が続いたことも、学生時代から自分達が慣れ親しんだ世界ってことで気持ちが前にいったんでしょうね。指揮者やコンマスにとっては、テンポ設定がうまくいかなかったって反省があるかもしれませんが、お客さんはその辺を喜んでいただけたのかな?(笑) おそらくテープなどで聴き直したら、あちこち冷や汗の部分があるんでしょうけど、音楽のもつ勢いや迫力がそれを上回った好演って評価をいただけるのではないでしょうか。

 逆に、3部の「ボエーム・パラフレーズ」は、もっと叙情的な典型的なイタリアオペラの曲で、クリマンメンバーにはあまり馴染みのない世界でした。なんで、20分もの長い時間、緊張感を持続させることが難しかったのかな? プッチーニオペラって、気持ちを込めて「演奏する」ってよりも、どちらかというと「音をいとおしむ」というか「言葉にならない気持ちを奏でる」って世界なんで、ちょっと非日常モードにトリップしないとなかなかニュアンスが出ないですよね(笑)。ワタクシ的にはとっても理解しやすくって、とってもいい気持ちで弾けたんですけど、全体としては残念ながらミスが多かったかな? 表情付けやテンポなどが、あまり劇的ではなかったかもしれません。

 2部の青山さんのソロステージはどうだったんでしょ? ワタクシ、楽屋で12台の楽器を一人で調弦していたんで、まったく聴けなかったんですけど、あまり調子が良くなかったんですか? いつものことですけど(笑)、トレモロがガチガチになってしまったってワイワイ騒いでいたような。。。とはいえ、我々シロートには出せないすばらしい音色が身上の青山さんですから、みなさんご満足いただけたのではないですか? もしCDとの差をご指摘される方がいらっしゃったら、さすがにコンサートホールでは、CDで聴かれるような絶妙なニュアンスが伝わりにくかったのかもしれませんね。あ、そうか、CDではギターとのデュオでしたから、ピアノとの音色の差も影響したのかしらん。。。

 最後に舞台裏を少々(笑)。会場には久保田先生もお越しいただいたんですけど、我々の演奏はちょっぴりテンポが遅すぎたみたいです(苦笑)。「テンポがちょっとね。。。」ってご感想を一言いただきました。ま、ピッキングをいろいろいじったってことには、とくにクレームはつきませんでしたんで、我々としてはちょっぴり一安心(笑)。もひとつ、指揮者様、なんでも背中を傷めての本番だったようで、とっても辛そうでした(涙)。でも、この歳になると(ぢつはワタクシと同期なんですよね)、簡単には「芸風」を変えられないってことで(爆)、いつものダイナミックな指揮を披露していただきました。でもさすがにコンパでは辛そうだったんで、早くもとに戻って京都に行かれることを祈ってますです。

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<はむらぼの辛口演奏会レビュー>

アンサンブル・アメデオ第15回定期演奏会

 とっても残念なんですけど、車の整備工場@燃料ポンプ不調、から大急ぎで直行したんですけど、1部の2曲目途中からしか聴くことができませんでした。なんだか水戸街道がとっても混んでいたんですよ(涙)。ということで、一番聴きたかった「木挽歌」を聴けずに、光和小学校の合唱も半分くらいしか聴くことが出来ませんでした。なんで、この演奏会の魅力の半分以上も聞き損ねてしまったです(涙) レビューは、それを踏まえてお読み下さいね。

 普段は演奏そのもののインプレッションを亥の一番に書くんですけど、今回はやっぱりパンフレットの曲目解説のことを書かなくてはいけませんです(笑)。最近の演奏会では、きっと最大文書量ぢゃないかな? セカンドあらい君や指揮者の小穴さんらが書かれたんですか? これは大変面白い企画だと思いました。とくに日本の歌では、なじみの曲の背景やらエピソードなど、読み応え十分。資料的価値も多くて、アマチュア演奏会としては一つの理想的なパンフレットぢゃないかな。ワタクシは本番時は演奏ばかり聴いていましたけど、家に帰ってから読み直してみたりと、一粒で二度美味しいプログラムでした(大吉)。音楽には言葉は不要って説もありますけど、やっぱりワタクシとしては、こういう情報量の多くて資料的価値が高いパンフレットを評価したいです。あ、でもね、演奏会場その場で読むには、かなり辛いかも。(^^; 文章量もさることながら、文字の色がちょっと薄くて、暗い会場の中ではかなり目を凝らさなくちゃいけなかったかもしれませんね。。。。

 さて、今年は1部を3階席(?)の一番奥の隅っこで聴いて、2部を2階席の中央あたりで聴いたんですけど、やっぱり大きな会場はこういう音の集まりやすい場所で聴くのが大吉ですね。1階席だと、きっと音が遠くに飛んでしまって、シンフォニックなサウンドをなかなか満喫できないんぢゃないかな? 演奏者の顔色なんかは、ステージに近い方が良くわかるんですけどね(笑)。で、昨年のレビューでも音色のことを書いたんですけど、今年も音色が一番印象的だったかな。

 まずは、良い方から(笑)。終曲の鈴木静一さん、この曲は、なんだかオケ全体の音色が一つにまとまっていて、とっても一体感が出ていました。ワタクシ的には、あまり好きな曲ぢゃなくって(苦笑)、ホルンパートの使い方など、イマイチ、ムムムなところも多いオーケストレーションなんですけど(ホルンの音色が欲しいってところは、とっても効果的でやっぱりホルン必修!って感じなんですけど、それ以外のところで音を重ねすぎだと思うんですよね)、打楽器の音色などもいい感じで、アメデオに限らず、なんだかマンドリン業界って、この手の曲が得意みたい(笑)。亨さんの指揮なども、もしかして鈴木先生直伝なのかな? 安心して聴けましたです。

 一方、ムムムな個所が何点か。えっと、1部2曲目の「日本のうた」で、秋だったかな? 冬だったかな? 合唱とマリンバだか鉄琴だかがユニゾンになるところがあったと思うんですけど、これはピッチが全然違っていて、ちょっとがっかり。演奏効果を狙いたい部分ではあるんですけど、調性かな? 楽器のせいかな? 美しいハーモニーにはなかなかならなかったのが残念でした。それと、服部先生の「迦樓羅面」では、冒頭のティンパニの音色がもう少し乾いた音の方が良かったです。鼓みたいな効果を出したいところなんですけど、これも楽器のせいかな? 固いマレットで叩いても、やっぱり濡れた感じの音になってしまっていました。昨年絶賛したチェロについては、今年は両手放しで喜べるってほどではなかったかな? 決して悪い音ではなかったですけど、昨年の方が印象的でした。(^^;

 演奏面では、「迦樓羅面」のテンポがちょっと予想外。2楽章では、テーマが戻ってくるところで、かなりテンポを上げてましたけど、あれ? そんな指示が書いてありましたっけ?(笑) 手元にスコアがないんで確認できないんですけど、ちょっとびっくりしましたです。コンマスソロも、この曲はちょっと目立たなかったかな?(悲) 1部での「日本の歌」でのカデンツァ@クーレ奏法が素晴らしかったんで、かなり期待してたんですけど、やっぱりオケの編成が大きすぎたのかな? 音量的に負けてしまっていて、ちょっぴり残念でした。

 1部の「日本のうた」では、小穴サウンドを満喫しまして、やっぱりこの手の音楽をやらせたら、マンドリン業界では小穴さんがダントツかもしれませんね(大喜)。テンションを多用した和声や変拍子など、とっても変化にとんだアレンジで、演奏もみなさんイキイキとしていました。光和小学校の合唱は、とても上手でしたけど、アンコールでのテクニックを聴いてしまった後では、もう少し複雑に、難しいことをやらせても良かったかもって欲張りモードになってしまいました(笑)。練習など大変だったと思いますけど、まだまだ深いものを聴かせてくれる合唱団なのでは?って期待してしまいますね。

 ということで、可もあり不可もありってワタクシ的にはいつものことですけど(笑)、最後に苦言を一言。アメデオって団体はとっても素晴らしくって、アマチュアオケとしては理想的な団体だとワタクシ心底思っているんですけど、ここまで来るとあとは理想的な客層を抱える団体になって欲しいと思っています。ステージメンバー間の楽しさってのは、十分伝わって来るんですけど、これをお客さんといっしょに楽しい時間を共有できるまで、両者の関係を高めていって欲しいんです。もちろん、羨ましいほどのたくさんのお客さんが来ているし、メンバーとのコミュニケーションもあちこちで取られているんですけど、まだまだお客さん側の一体感が足りずに、演奏会を楽しむというノリがイマイチのような気がしてしまいます(悲)。合唱のアンコールの拍手も一旦ストップしてしまったし、アンコールの和太鼓などに対する拍手も、もっと賞賛があってもいいかな? ステージメンバーの知り合いってのが大半なんでしょうけど、知り合いの誰々が出ているって演奏会から、演奏そのものを心底楽しんで、ステージメンバーといっしょに演奏会を盛り上げるって気持ちが客席の隅から隅まで伝播するって演奏会にして欲しいんです。隣りの人につられて、演奏にのめり込んでしまった、ってなコンサートがワタクシ的な理想かな。客席のビンビンとした反応で、演奏者自体も煽られるって、そんな豊かなコミュニケーションがある演奏会ってのを、目指して欲しいなと思っています。

 ということで、ステージメンバーが毎回毎回、一歩ずつ練習を重ねるのと同じように、客席の我々も、毎年毎年聴きに行く度に、演奏会をいっしょになって盛り上げる聴衆に成長していかなくてはいけないなって思った一日でした。難しいこといわずに、楽しんで行こうよって声が聞こえてきそうですけど(笑)、アメデオという団体にだからこそできることも多いと思うんです。やっぱりいろいろな意味で、一つの理想に向かって、ステージと客席がひとつになって、多くの楽しい経験を積み重ねていきたいものです。

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